イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は2023年6月、Intelがイスラエルに約250億ドルを投じて新たな半導体工場を建設するとの声明を発表したが、この建設に向けてイスラエル政府は12月26日、このうち32億ドルを政府が助成することでIntelと合意し、Intelもこの250億ドルの投資を対外的に認めたとイスラエルや米国メディアが報じている。
Intelの計画によると、イスラエル中部にあるキルヤット・ガトの既存の半導体工場を拡張する方向で検討が進んでいるという。ちなみにキルヤット・ガトにある同工場は、パレスチナのガザ地区から42kmほど離れた場所にある。
Intelの資料によると、イスラエル工場は同社の主要半導体開発ならびに製造拠点で1万2000人の従業員を抱え、年間87億ドル(2022年)の輸出実績がある。これはイスラエルのハイテク輸出額の5.5%に相当するという。
イスラエル財務省はIntelの今回の投資について、同国への企業投資として過去最大だと指摘するとともに、「世界が半導体投資を競っているタイミングでIntelが決定したこの投資は、イスラエル経済に対する強力な信任投票だ」との声明を発表したと海外メディアは伝えている。
なお、Intelとイスラエルの関係は長年にわたっており、同社設立6年後の1974年の半導体設計センター設置にまでさかのぼることができる。現在、Intelはイスラエルの4か所で半導体研究開発や先端製品の製造を行っているほか、2017年にはMobileyeを150億ドルで買収している(Mobileyeは2022年に株式上場を行っている)。また、イスラエルに本拠を置き日本にも半導体工場(旧パナソニックの北陸3工場)を所有するTower Semiconductorの買収計画も進めていたが、中国規制当局の承認が得られず2023年8月に断念した経緯がある。