EYは12月27日、テクノロジー業界に関する最新のレポート「2024年におけるテクノロジー企業のビジネスオポチュニティ・トップ10」を発表した。同調査によると、マクロ経済の弱さとコスト削減を特徴とするテクノロジーセクターにとって、2023年は厳しいスタートとなったものの、その後、生成AIを中心とした企業戦略が自信回復のきっかけとなったという。
2024年テクノロジー企業ビジネスチャンスのトップ10
同調査で発表された「2024年テクノロジー企業ビジネスチャンスのトップ10」は以下の通り。
1.DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略への生成AIの導入と「コントロールタワー」の確立
2.フロントオフィスとバックオフィスのユースケースにおけるターゲットを絞った生成AI使用の実験
3.急成長する「エッジエコノミー」における新しいデジタルインフラへの投資
4.新興市場でのサプライチェーンの増設
5.AIロードマップに沿った企業の投資戦略策定
6.プラットフォームのビジネスモデルを活用した先進テクノロジーの産業化と規模の拡大
7.新規および将来の税負担に対して積極的かつ包括的な対応の確立
8.環境への取り組みにおけるデータセンターのエネルギー効率の優先
9.高度なリスクツールへの投資による、コスト、リスク、レジリエンス、アジリティ間のトレードオフの再検討
10.現在および将来のサイバーリスク軽減のための高度なテクノロジーの導入
生成AIを試すオポチュニティが初登場で2位
今回の調査では、フロントオフィスとバックオフィスのユースケースにおける生成AIを試すオポチュニティが初登場で2位となった。企業はすべてのユースケースに生成AIを活用するのではなく、インパクトが大きく価値の高いユースケースと、トランスフォーメーションの機会をターゲットにすべきと述べられている。
また同調査によると、業界のリーダーたちは、AIがビジネスのより効率的な運営に役立つ可能性を強く認識しており、65%のテクノロジー企業のCEOが、競合他社に戦略的優位性を与えないために、今すぐ生成AIに取り組む必要があるとの見解を述べているという。
このような状況の中で、AIロードマップを軸にした企業の投資戦略の策定が、5位にランクインしたことはEYの想定通りだったそうで、AIおよびLLM(大規模言語モデル)の使用が急速に進んでおり、企業はM&A、そしてパートナーシップの構築によって、自社が直面しているハードウェアの需要、コストのかかるトレーニング、導入に必要な人材の採用などの課題を克服して、開発を加速させることができるようになるという。
4位には新興市場での新たなサプライチェーンを確立する機会
また今回のランキングの4位には、新興市場での新たなサプライチェーンを確立するオポチュニティが入っている。サプライチェーンのデカップリングリスクは、特にハードウェア志向の企業には依然として存在しており、半導体などのサブセクターでは、地政学的な混乱を緩和する方法でサプライチェーンを再編する競争が進行中だという。
同調査では、インドやASEAN(東南アジア諸国連合)諸国などの新興市場で事業を展開し、貿易摩擦にさらされる地域から離れた場所で事業を拡大するという新たな傾向が強く示されている。