ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)は12月26日(米国時間)、Tモバイルに対し、同社普通株式48,751,557株(12月22日の終値ベースで7,591百万米ドル=1.1兆円相当を発行するよう通知したことをは発表した。
これは、Tモバイル、ソフトバンクG、およびドイツテレコムの間で締結された2020年2月20日付のレターアグリーメントに規定された条件が、12月22日(米国時間)に充足されたことを受けたもの。
条件の充足により、TモバイルはソフトバンクGまたはその指定する関係会社に対し、Tモバイルの普通株式48,751,557株を無償で発行することになる(条件付対価)。TモバイルはソフトバンクGの通知から10営業日以内にソフトバンクG100%子会社に対し本株式を発行する見込みだという。
ソフトバンクGは2013年7月に2.1兆円(手元資金0.4兆円、借入金1.7兆円)を投じてSprintを子会社化し、その後2020年4月1日にSprintはT-Mobileと合併し、その対価としてTモバイル株式および条件付対価を受領した。本株式を含むSprintへの投資に係る12月22日現在のエクイティIRR(内部収益率)は25.5%に、MOIC(投下資本倍率)は8.1倍に達している。
条件付対価の内容は、本合併取引完了日の2年後の応当日から2025年12月31日の期間に、NASDAQ Global Select MarketにおけるTモバイル普通株式の45日間の出来高加重平均価格が150米ドル以上となった場合、本株式を無償で取得できる権利。9月25日、Tモバイルが12月1日時点の株主に対して1株当たり0.65米ドルの現金配当を行うことを発表したため、レターアグリーメントの条項に従い、条件付対価の基準価格は当初の150米ドルから149.35米ドルに調整された。
2020年4月1日の本合併取引完了時、ソフトバンクGは条件付対価の公正価値1,825百万米ドル(1,963億円)をSprint売却益の一部として連結損益計算書に計上するとともに、連結財政状態計算書の「デリバティブ金融資産」に計上したのち、公正価値の変動を連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に計上してきた。9月末現在の公正価値は5,666百万米ドル(8,475億円)。
12月22日(米国時間)に条件付対価の条件を充足したことから、条件付対価の2023年9月末の公正価値と同日の公正価値との差額1,925百万米ドル(2,740億円)を2023年度第3四半期(10-12月期)連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に利益として計上するという。
また、条件充足に伴い条件付対価は株式受領権になり、本株式受領日までの公正価値の変動もあわせて「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に計上するほか、本株式の受領日には連結財政状態計算書の「デリバティブ金融資産(株式受領権)」を公正価値(株価)で「投資有価証券」に振り替える。同日以降の公正価値の変動は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資の未実現評価損益)」に計上するとしている。
ソフトバンクGが毎四半期の決算発表時に公表しているNAV(時価純資産)の算出において、Tモバイルの株式価値には条件付対価の公正価値(9月末現在:5,666百万米ドル=8,475億円)が含まれる。なお、12月22日の終値に基づく株式受領権の公正価値は7,591百万米ドル。