【2024年をどう占う?】答える人 パーソルホールディングス社長・和田孝雄

社員のエンゲージメントが高まると創造力は3倍に

 ─ 人手不足が全産業界で叫ばれていますが、パーソルホールディングス社長の和田孝雄さんは人材サービス産業の役割をどのように考えますか。

 和田 当社は中期経営計画で『〝はたらくWell-being〟創造カンパニー』となることを目指しています。やはり、仕事を通して人は成長するので、はたらくウェルビーイングを感じられる、そんな世界をつくりたいと考えているんですね。

 30年には約640万人の労働力や人材が足りないと言われています。少子高齢化、人口減という構造的な問題も危機的な状況が目の前に迫っていますが、その中で、仕事の仕方をきちんと定義して、はたらく人がよりはたらくウェルビーイングを感じられれば、結果的に生産性が上がると。

 そして、人の生産性が上がれば、企業や組織の生産能力も高まり、そして経済の活性化につながるという、好循環を組み上げていきたいと考えています。

 ─ コロナ禍で人々の意識が大きく変わりました。今後、人々の働き方はどう変化していくと考えますか。

 和田 コロナ禍の3年間は、大きな転換期でした。多様性がより一層明確になってきましたし、それを尊重できる企業だけが人材を獲得できるという状態です。やり甲斐や評価、報酬だけではなく、はたらく場所の選択肢だとか、自分で仕事を決められるなど、「自分で選択できる」ということに大きな価値があるのが今の流れです。

 こういったことを、調査結果をもとにファクトとして、企業にお伝えするのも当社の役割だと考えます。

 ─ ひと頃は、会社への「忠誠心」という言葉がありましたが、最近は「エンゲージメント」という言葉になりましたね。

 和田 ええ。社員のエンゲージメントが高まると、創造力が3倍高まり、個人の生産性は約31%高まるというデータも出ています。また、営業マンであれば、売上は約37%高まるという結果も出ています。

 要は、はたらく幸福感が高まると、離職率が約41%減り、最終的に工場内・職場内の事故率も約70%削減していくというデータもあります。幸福感を高めていくということが、人的資本経営のど真ん中で、企業の価値向上に間違いなく繋がっていきます。

 特に今、若い人たちは、自分の労働環境だけではなく、環境問題などを含む社会問題に企業がどれだけ関心を持っているかに興味を持っています。そういったものを企業は総合的に、パッケージ化して、用意する必要があると感じています。

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