高精度電子線計測システム「GT2000」の開発背景

日立ハイテクは、EUVリソグラフィを活用して製造される半導体デバイスの開発ならびに量産における計測ニーズに対応することを可能とした高精度電子線計測システム「GT2000」を発売したことを発表した。

  • 高精度電子線計測システム「GT2000」の外観

    高精度電子線計測システム「GT2000」の外観(出所:日立ハイテク)

半導体製造プロセスの微細化は未だに進化を続けており、2nmプロセス世代や14Åプロセス世代の半導体デバイスの実現に向けた研究開発が進められているほか、そうした最先端デバイスには高NA EUVリソグラフィが適用され、ゲートがチャネルを完全に覆ったトランジスタ構造である「GAA」や、n型デバイスとp型デバイスを重ねて積層する構造の相補型電解効果トランジスタである「CFET」などデバイス構造の複雑化が見込まれている。

こうした背景もあり、最先端の半導体デバイスの研究段階で、さまざまな材料や構造でも計測できる幅広い計測条件で高速にデータ取得できることや、量産段階においてより安定的に稼働できること、装置間の測長値差を低減することが求められているという。

高精度電子線計測システム「GT2000」の特徴

そこで、日立ハイテクは同社がもつウェハ上に形成された半導体の微細な回路パターンの線幅や穴径などの寸法を高精度に計測する装置「CD-SEM」の技術やノウハウを適用した高精度電子線計測システムを開発。同システムでは、レジストの薄膜化がさらに進むこととなる高NA EUVリソグラフィ工程でもレジストにできるだけダメージを与えずに計測できるようにするためにCD-SEMでは初となる超低加速電圧100V条件と、独自の高速スキャンを組み合わせ、低ダメージかつ高精度な計測を実現する「低ダメージ高精度計測」、ならびに開発・試作工程で製造プロセス条件決めや異常検出を素早く行うことができる「超高速多点計測モード」を搭載。また、先端半導体技術となる3Dデバイス構造向けに、反射電子を効率的に検出する新たな「高感度反射電子用検出システム」も搭載することで、複雑化するデバイス構造を高精度に撮像することを可能にしたとするほか、複数台ある装置間での測長値差が小さいことが求められるCD-SEMのニーズに対応するべく、プラットフォームや電子光学系を刷新し、従来機で課題となっていた測長値差を引き起こす要因を徹底的に潰し込むことにより、装置間での測長値差の極小化を実現したともしている。

なお同社では今後も微細化および複雑化が進む先端半導体の製造プロセスにおける高精度かつ高速な計測や検査を実現していくことで最先端のものづくりに貢献していきたいとしている。