Terra Drone(テラドローン)の子会社であるUnifly NV(ユニフライ)は12月27日、米連邦航空局(FAA)と、ドローンの運航管理システム(UTM)のためのサイバーセキュリティフレームワークを構築し、それを評価・検証するための実証実験を実施したことを発表した。

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UTMに特化したサイバーセキュリティの構築へ

ドローンや空飛ぶクルマの普及には、これらの動きを管理して衝突を防ぎ、運航を安全かつ効率的に行うための交通インフラを提供するUTMが必要だが、まだ新しいプラットフォームであり、今後、その脆弱性を悪用するサイバー攻撃の標的となる可能性がある。これが原因で、ドローンや空飛ぶクルマの運航における安全性、利用者のプライバシー、事業の運営などに影響がおよぶ可能性があるが、UTM向けのサイバーセキュリティフレームワークはまだ進んでおらず、どのようなセキュリティ機能を備えるべきかを想定することが困難な状況であった。

ユニフライはアメリカの航空輸送を監督するFAAから助成金を受け、Rhea GroupとNUAIR NY Test Siteと提携し、ドローンの飛行を管理するUTMのためのサイバーセキュリティフレームワークを構築。2022年9月から1年間、FAAの助成金によるプロジェクトとして、UTMに特化したサイバーセキュリティの構築に向けた実証実験を実施した。

まず、UTMに特化したサイバーセキュリティの必要性に関して、米連邦航空局 航空交通機関(FAA ATO)、米国空宇宙局(NASA)、米CNA(非営利の調査分析機関)、Nav Canada(カナダの航空管制サービス)、DroneUp(米のドローン宅配サービス)、アメリカの空飛ぶクルマ製造企業の関係企業や団体に聞き取り調査を行った。

ドローンのセキュリティ制御でサイバー攻撃を受ける件数が減少

その結果、「UTMに特化したサイバーセキュリティのフレームワークが必要」や「UTMのような新しいプラットフォームを導入する際は、サイバーセキュリティの方向性を確立することが不可欠」と言ったような声が寄せられるなど、すべての関係者がUTMに特化した新しいサイバーセキュリティフレームワークが必要だとの認識を示したという。

今回のプロジェクトではこうした声をもとに、「攻撃を受けていない理想的な環境」「サイバー攻撃を受けている環境」「サイバー攻撃対策を実施した環境」という3つの状況下でUTMを使って計60回以上のドローン飛行を実施し、それぞれの運用環境のもとで実装されたセキュリティ制御を検証した。その結果、開発したUTMに特化したサイバーセキュリティを適用することで、サイバー攻撃を受ける件数自体が減少したほか、脆弱性の数も減少するなどUTMを取り巻くサイバーセキュリティの環境改善につながったという。

今回の実証実験の成果により、今後はUTMに対して高度なサイバーセキュリティ対策を実施することで、ドローンや空飛ぶクルマが飛ぶ空域の安全性が向上することが確認された。ユニフライは、UTMに対するサイバーセキュリティ対策が、UTM業界全体およびサービスを利用する人々にも安全性や効率性をもたらすと考えており、今後もFAAや他の業界関係者と連携しながら、「空の安全」を確保するために空のインフラの構築に取り組み続ける構えだ。