マカフィーは12月26日、2024年に注意すべき重要なセキュリティ動向をまとめた2024年のサイバーセキュリティ脅威動向予測を発表した。サイバー詐欺師が急速に進歩するAI技術を悪用して危険なディープフェイクを作成し、個人情報盗難やますます巧妙化するサイバー詐欺を実行し続ける中、「マカフィー2024年サイバーセキュリティの脅威動向予測」として6つの事柄をあげた。

2024年選挙を妨害するディープフェイク

マカフィーは、米国大統領選挙、インドの総選挙、欧州連合(EU)の議会選挙など、AIが生成した音声、動画、写真などディープフェイクによる詐欺が増加する中、有権者は情報の真偽を見極めることが求められるとしている。

有権者は、対立候補を批判する政治家に対して懐疑的になることを学んできた一方で、たとえそれらの写真や映像がAIによって作成されたものであっても、視覚的または音声的証拠に裏付けられた主張は、政治家の評判を傷つける可能性があるということを念頭におくことを推奨している。

ソーシャルメディア上のAI詐欺に注意

2024年、AIによりサイバー犯罪者がソーシャルメディアを操り、かつてないほど世論の形成に影響を与える可能性があることに加え、詐欺師は、AIを活用した強力なツールで写真、映像、音声を捏造する可能性がある、と警鐘を鳴らしている。そして、巧妙に作られた偽の情報はソーシャルメディアで大量に発生するという。

マカフィーは、サイバー犯罪者が、有名人やインフルエンサーの名前や画像を用いて、詐欺ではないように見せかけることや、AIによる詐欺の温床になりやすいECプラットフォームに十分注意を払う必要があるとの見解だ。

子どもたちの間でのネットいじめが増加

2024年に向けて最も厄介なトレンドの1つとして、マカフィーは「ディープフェイク技術を悪用することによりネットいじめが再び増えること」をあげている。

簡単にアクセスできるツールを単に楽しむためだけでなく、リアルな偽コンテンツを作成するためにも使うことができるようになることにより、サイバーいじめっ子たちは、噂を広めるだけでなく、パブリックドメインで入手可能な画像(一般利用が可能な素材)を操作し、偽造画像を再投稿することができるようになってしまう可能性が考えられるという。 こうした虚偽の画像や言葉が増加していくことは、子供やその家族に重大かつ永続的な危害を及ぼし、プライバシーやアイデンティティ、健全性を害する危険性をはらむという。

寄付の危険性

詐欺師の特に非情な手口としては、「寄付の詐欺」があげられる。サイバー詐欺師は偽の寄付サイトを立ち上げたり、善意の寄付者を騙して正当な活動を支援しているかのように見せかけるために偽のページを作成するという。2024年には、特に関心を得やすい紛争や人道危機に関連する詐欺が増える可能性が高いことが予想されている。

新種のマルウェア、声と映像のクローン詐欺がAIにより加速

AIの素早くコーディングできるという特性を活かして、高度なマルウェアや悪質なウェブサイトを驚くべきスピードで作成することが懸念されるという。

また、説得力のあるフィッシングメールやスミッシングメールの作成と拡散も、より迅速かつ容易になると予想される。これは、無防備な標的を欺き、金銭をだまし取ることを目的としたディープフェイクの動画、写真、音声コンテンツの作成にも及ぶ。

このような脅威への参入障壁が低くなるにつれて、詐欺はあらゆるプラットフォームの人々を標的にし、特にモバイル端末での脅威が高くなることが想定されるという。

2024年パリ五輪に向け詐欺が急増

2024年のパリオリンピックをめぐる世界的な興奮は、詐欺の温床になりえる、とマカフィーは見ているという。サイバー詐欺師は、チケットの購入、旅行の予約、話題のコンテンツへのアクセス、景品への参加などを熱望するファンをターゲットに、この国際的な大規模イベントに対する消費者の熱狂を利用し、人々を脅威にさらす可能性が高いそうだ。