VOICHATは12月26日、リモートワークと出社のハイブリッドワークを行っている会社員を対象に実施した、ハイブリッドワーカーのコミュニケーションに関する実態調査の結果を公表した。リモート・出社にかかわらず「相談や質問を後回しにした経験」がある人が7割以上にのぼった。
このレポートは、リモートワークと出社のハイブリッドワークを行っておりmバーチャルオフィスツールを活用していない会社員103名を対象に、「リサピー」の企画により11月27日〜29日に実施したハイブリッドワーカーのコミュニケーションに関する実態調査の結果に基づく。
リモート時・出社時それぞれのコミュニケーションの悩みについて尋ねると、1位は「ちょっとした相談がしづらい」(47.6%)であった。2位は「メンバーが何をしているのかわからない」(34.0%)で、類似する「誰と誰が一緒に仕事をしているのかわからない」も15.5%。3位は、「上司とのコミュニケーション量が減ったと感じる」となった。
以下、「チームの一体感を感じづらい」(20.4%)、「個人のタスクに閉じがちになり、チーム内の連携が弱くなった」(17.5%)となり、これらもコミュニケーション量の減少によるものだと推測できる。また、「コミュニケーションの手段が複数あり、何で伝えるべきか迷うことがある」(19.4%)という回答もあった。
そのほかの悩みについて聞くと、「仕事の評価がしにくい」(26歳)、「仕事を教えてもらいづらい」(30歳)、「意見が纏まりづらい」(24歳)、「ちょっとした雑談から得られる社内情報が分かりにくい」(36歳)、「集中力の維持が難しい」(29歳)、「プライベート時間とのメリハリがつけにくい」(30歳)、「セキュリティの不安があること」(35歳)といった声もあがり、コミュニケーション面の課題だけでなく、自宅で働くという環境ならではの悩みも寄せられた。
出社時の悩みについて聞くと、「出社のタイミングが合わず、対話できる機会が少ない」と「周りがうるさかったり話しかけられたりする」が同率1位で30.1%。次いで、3位が「気兼ねなく息抜きしたり雑談できる場がない」(25.2%)、4位が「対面ミーティングスペースが不足している」(21.4%)、5位が「誰がどこにいるかわからず、聞き回ることがある」(15.5%)となった。
それ以外の出社時の悩みについて尋ねると、「新入社員や転勤者の顔と名前が覚えづらい」(30歳)、「出社した人に仕事が多くなりがち」(39歳)、「電話対応が煩わしい」(38歳)、「人間関係」(29歳)、「退勤のタイミングに気を使う」(32歳)、「職場までの通勤が負担」(30歳)といった声が挙がり、人が近くにいるからこその悩みもあることがわかった。
チャットツールを通じたコミュニケーション課題について質問すると、1位は「細かなニュアンスが伝わらない」(49.5%)、2位が「ちゃんと伝わっているか不安」(45.6%)、3位が「相手のリアクションがないと気になる」(43.7%)。以下、「会話のテンポが合わない(時差が生じる)」(29.1%)「自分に関係ない無駄な通知が多い」(17.5%)となった。
また、リモート時、メンバーの状況が分からないまたはチャットを打つのが面倒と感じ、業務の相談や質問を「後回し」にした経験はあるかという問いには、リモート時で73.8%、出社時で72.8%。どちらも7割を超える人が「ある」と回答。「何度もある」についてはリモート時27.2%、出社時32.0%と、出社時のほうが5%程度多い。
コミュニケーションを後回しにしない工夫のひとつとして、「メンバーの状況がすぐにわかり、テキストではなく音声でリアルタイムにコミュニケーションが取れるツール」の活用に興味があるか尋ねると、「かなりある」(8.7%)と「ややある」(43.7%)を合わせて52.4%が興味を持っているという結果になった。
コミュニケーションを取りやすい環境をつくることが、会社や従業員にとってどのようなメリットがあると思うか尋ねると、圧倒的1位は「社内の人間関係が円滑になる」で65.0%となり、チームで働く以上、人間関係の摩擦がないことが大前提であると考えている人が多いことがわかる。次いで「業務の分散やフォローがしやすくなり、生産性が向上する」(44.7%)、「個人やチームの成長につながる」(36.9%)、「新しいアイデアなどイノベーションの促進につながる」(27.2%)といった仕事面、「従業員のエンゲージメントが向上する」(40.8%)、「ポジティブな組織文化が形成されていく」(35.9%)といった愛社精神や企業文化といった面への好影響に期待していることがわかる結果となった。
これらの結果から、大前提として「社内の円滑な人間関係」を強く求めている人が多いということが明らかになった一方で、8割以上の人がコミュニケーションについて何かしらの悩みを抱え、7割以上の人が業務の相談や質問といったコミュニケーションを後回しにした経験があると回答した。また、チャットツールに苦手意識や不満を抱えている人が少なくないことが示され、マイナス面を埋める工夫が求められているとVOICHATは指摘している。