大日本印刷(DNP)は12月25日、社員3万人を対象とした「アンコンシャス・バイアス研修」を開始したことを発表した。
多様化やイノベーションを阻害する"アンコンシャス・バイアス"
"無意識の思い込み"を指すアンコンシャス・バイアスは、直観や従来の経験に基づく先入観による認知バイアス(cognitive bias)の一種とされ、組織へのネガティブな影響が懸念されるなど、近年注目されているキーワード。男女共同参画や採用、評価、人材の育成など人事面での文脈で述べられることが多いが、新製品や新サービスが求められる企業においては、常識を固定化することで多様化やイノベーションを阻害する悪影響も懸念されている。
中期経営計画で"多様な個を活かすD&I"を掲げる同社では、2021年に国内の全社員を対象として、eラーニング形式で「アンコンシャス・バイアス研修」を実施。今年の11月30日からはDNPグループ各社の社長・役員を対象に階層別に講義とワークの実習へと取り組みを進めている。実習は、一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所の研修講師の資格「認定トレーナー」を取得する同社のダイバーシティ&インクルーション推進室に所属する社員と外部講師が社内講師を務め、2024年度中に国内のDNPグループの社員約3万人の受講を完了する予定だ。「アンコンシャス・バイアス研修」受講者の声
受講者からは、"一人ひとりが多様な意見・考え方を持っていることを前提として、さらに、意見が言いやすい組織風土を醸成していこうと思うようになった" "自身の持つアンコンシャス・バイアスが、組織に所属する人たちのモチベーションに大きく影響することが実感できた""「知る」「気づく」「対処する」をみんなが意識し実践すれば、今以上に心理的安全性の高い組織になっていくと感じられた" "まずは、このアンコンシャス・バイアスの存在に気づけたことが何よりもよかった"などの声が寄せられているが、同社では、誰もが陥りやすい"アンコンシャス・バイアス"の影響を社員全員が認識することで、新しい価値の創出へ挑戦する組織、リスクに強い組織を目指す考えだ。