【経済産業省】法改正で「中堅企業」新設へ 税制優遇で重点支援を検討

経済産業省は従業員数が2千人以下の企業を「中堅企業」として、新たに法律に位置付ける議論を開始した。中小企業よりも規模が大きく地方の雇用の受け皿ともなっている中堅企業の成長を促すため、税制面で優遇する仕組みの創設を検討するなど重点的な支援を行う方針だ。

 経産省は2024年の通常国会に産業競争力強化法の改正案の提出を目指しており、新たに中堅企業を設ける方向で検討を進める。中堅企業は大企業と中小企業の間に位置付けられ、例えば製造業や建設業などでは常時雇用する従業員数が300人以上2千人以下で資本金が3億円超の会社は中堅企業となる。全国の約9800事業者が対象となる見込みだ。

 経産省はこうした中堅企業を支援し、国内投資の拡大や地方の賃上げにつなげたい考え。中堅企業は従業者数や給与総額の10年間の伸び率が大企業や中小企業を上回り、地域の雇用の提供者としての役割を担っている。売上高も国内外で高い水準で伸び、設備投資も積極的であるなど、日本経済の成長のけん引役としても期待されている。

 一方、海外と比べ、中堅企業から大企業へと成長した割合は低い傾向にあり、十分な支援ができていないなどの課題があった。中堅企業に対する政策はアジア各国で取り組みが進む。例えば、韓国では30年までに現在の約5500社から1万社に増やし、輸出2千億ドル(約30兆円)の達成を目標に集中支援が行われている。

 経産省は23年度補正予算に中堅企業の支援として、工場などの拠点新設や大規模な設備投資を行った場合に、50億円を上限に投資費用の3分の1を補助する制度を設けた。さらに一定規模の機械装置などの投資に対する税制優遇の創設を検討。複数の中小企業を子会社化するなど、M&A(合併・買収)を行った場合の税優遇策も検討しており、支援を強化する考えだ。

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