米国商務省は12月21日(米国時間)、代表的な主要産業の米国企業を対象に、レガシー半導体(米国の対中半導体および製造装置輸出規制の対象外となっている古いプロセス技術で製造された半導体)の調達状況や使用状況について2024年1月より調査を開始すると発表した。

この調査の目的は、米国企業がレガシープロセスを採用した半導体をどこからどのように調達しているかを特定することによって、中国製レガシー半導体によってもたらされる国家安全保障上のリスクを軽減するという米国の政策に役立たせるためだという。

調査は、商務省産業安全保障局(BIS)が担当し、米国の自動車、電気通信、航空宇宙、防衛業界などの主要産業のサプライチェーンにおける中国製レガシー半導体の調達と使用に焦点を当てるという。

米国のジーナ・レモンド商務長官は、「レガシー半導体は、通信、自動車、防衛産業基盤などの米国の重要産業をサポートするために不可欠である。米国の従来の半導体サプライチェーンを脅かす外国政府による行動に対処することは国家安全保障の問題だ。ここ数年、中国が自社の従来の半導体生産を拡大し、米国企業の競争を困難にする懸念すべき慣行の潜在的な兆候を我々は見てきた。こうした懸念を先取りするために、商務省は米国企業からレガシー半導体の調達に関するデータを収集し、米国の半導体サプライチェーンを構築する積極的な措置を講じている。政府だけでは強固なサプライチェーンを構築し維持することはできないので、業界の協力が必要である。この調査により、商務省は強力で多様性に富み、回復力のある半導体サプライチェーンを構築するための『次のステップ』に必要なデータを得ることができる」と述べている。

次のステップとは何か?

「次のステップ」とは、中国の動きに対抗するための関税引き上げや先端半導体以外の一般の半導体の中国企業への禁輸などを指すのではないかと米国半導体関係者はみている。米国連邦議会下院中国特別委員会は最近、超党派の報告書で、レガシー半導体に関税を課すよう政府に求めている。CHIPS法による米国内レガシー半導体工場への補助金は、20億ドルが計上されているが、見直して増額すべきとの声も上がっている。

中国のレガシー半導体メーカーは、安値攻勢により世界市場でシェアを伸ばしており、米国政府は、中国勢が中国政府の資金援助をうけてレガシー半導体分野で世界市場において支配的な地位を占めるのをなんとか防ぎたいようである。