国際刑事警察機構(ICPO: International Criminal Police Organization)は12月19日(現地時間)、「USD 300 million seized and 3,500 suspects arrested in international financial crime operation」において、国際金融犯罪捜査の結果、3億米ドルを押収し、容疑者3,500人を逮捕したと伝えた。2023年7月から12月までの半年間にわたり、「HAECHI IV作戦」と呼ばれるサイバー犯罪を対象とした作戦を実行したとして、その概要を伝えている。
サイバー犯罪捜査「HAECHI IV作戦」の概要
作戦の対象となったサイバー犯罪は、音声フィッシング、ロマンス詐欺、オンラインセクストーション、投資詐欺、違法オンラインギャンブル、ビジネスメール詐欺(BEC: Business Email Compromise)、電子商取引詐欺に分類される7つのオンライン詐欺とされる。この作戦は韓国の資金援助で行われ、韓国、フィリピンを中心に日本、英国、米国など合計34か国が参加している。
捜査当局は協力してオンライン詐欺を見つけ出し、関連する銀行口座や暗号資産交換業者(VASP: Virtual Asset Service Providers)の口座を凍結した。この口座凍結にはインターポール国際決済迅速介入(I-GRIP: INTERPOL’s Global Rapid Intervention of Payments)が利用された。その結果、82,112件の疑わしい口座が凍結され、1億9900万米ドルの国際通貨と1億100万米ドル相当の暗号資産を押収している。
新たな投資詐欺行為に対し警告
現在も参加国による捜査は進行中だが、この作戦中に新たな投資詐欺行為について各国に2つの警告が発行されている。1つは韓国で発見された非代替性トークン(NFT: Non-Fungible Token)の販売を含む詐欺で、運営者は巨額のリターンを約束するが、実際はプロジェクトを突然放棄して資金を持ち去る「ラグプル(rug pull)」と呼ばれる詐欺であることが判明したとして警告した。
もう1つは人工知能(AI: Artificial Intelligence)やディープフェイクの技術が身分詐称や知人へのなりすましを可能にするとして、これら技術が詐欺の信憑性を高めることに警告している。
ICPOのエグゼクティブ・ディレクターはこの作戦について、「3億米ドルの押収は驚異的な金額であり、国境を超えた組織犯罪の爆発的な増加を証明している。この不法で膨大な富の蓄積は、世界の安全保障に対する深刻な脅威であり、世界中の国々の経済的な安定を弱体化させている。」と述べ、これらサイバー犯罪を強く非難している。