TrendForceによると、クラウドサービスプロバイダ(CSP)による在庫削減活動もあり、2023年第3四半期のエンタープライズSSD市場規模は前四半期比4.2%増の15億6000万ドルとなったという。
また、NANDサプライヤ各社の減産が第4四半期も継続していることから、第4四半期の契約価格は上昇が見込まれているほか、サーバクライアントからの急ぎの注文も入るようになってきており、こうした供給不足と価格上昇により、市場規模は同20%以上のプラス成長を記録する可能性があるともしている。
2024年は本格的な市場回復年に
NANDサプライヤ各社の第3四半期の動向をみると、トップのSamsung Electronicsの売上高は同10.8%増の5億9000万ドルとなった。これまで影響を受けていた汎用サーバの出荷台数の減少が第3四半期に脱したことが示された形となった。
2位のSKグループは、主要顧客への出荷増を背景に同4.0%増の3億8900万ドルとなった。主な動きとして、QLC製品の出荷があまり増加しなかった一方で、TLC PCIe製品が顧客の在庫調整が終わったこともあり増加したという。
SKグループはSK hynixとSolidigm(旧Intel)で構成されているが、Solidigmの工場は中国の大連にある点に注意が必要だとTrendForceでは指摘している。対中半導体規制の影響で、大連工場のフローティング技術が192層より高層化するのが難しくなることが想定されるためで、そのため同工場から生み出される利益が限定的になる可能性があるとしている。
3位のMicron Technologyの同市場の売上高もサーバOEMからの注文の増加を背景に同9.3%増の2億3400万ドルとなった。TrendForceによれば、Micronは近年、PCIe SSDに注力しており、それが功を奏し、エンタープライズSSDの需要が全体的に低下する中にあって、シェアを拡大させ続けているという。そのため、今後も高層NANDのコスト優位性とHBM製品の可用性を打ち出す形でエンタープライズSSDの出荷を増やすことが期待されるとしている。
4位のキオクシアの売上高は、PCIe 4.0製品の安定した需要とサーバOEMからの注文増により同2.0%増の2億800万ドルとなった。2024年は、エンタープライズSSDにおけるPCIe製品の普及率が高まることが予想されるため、キオクシアのシェアが拡大する可能性があるが、競合他社が176層以上に移行する中、キオクシアが112層技術を継続して使用するのであれば、供給の柔軟性の向上と収益性の最適化という点で課題になる可能性があるともしている。
5位のWestern Digital(WDC)の同四半期の売上高は価格と数量、ともに下落した結果、同18.3%減の1億4700万ドルにとどまったという。
なお、TrendForceでは、2024年にはサーバの出荷数は徐々に回復していくものと予想しているほか、市場に流通するスポット在庫も減少することから、エンタープライズSSDの注文が増加する見込みとしており、次世代プラットフォームの展開に伴ってPCIe 5.0製品の採用率も増加するともしている。中でもSamsungが先行してPCIe 5.0製品を量産対応しており、競合他社に対して有利なポジションに立つ可能性があるとTrendForceでは指摘している。