TSMCは12月15日、米国ワシントン州にある同社100%子会社WaferTechを、「TSMC Washington」へと社名を変更したことを発表した。
同社の世界工場展開戦略の一環として、すべての子会社にわたって統一されたコーポレートアイデンティティを確立するという戦略的取り組みの一環であり、WaferTechがTSMCのファミリー企業であることを明確に表示するためだと説明している。変更されたのは社名のみであるため、既存の何かしらの契約に影響を与えるものではないという。
TSMC Washingtonは、1996年6月にTSMCとAnalog Devices(ADI)、Integrated Silicon Solution Inc(ISSI)、およびAlteraの合弁会社として、TSMCからは独立した米国初の200mm専業ファウンドリとして誕生した。2010年にTSMCの100%子会社となったが、社名は変更されず、これまでWaferTechで通してきた。同社は、オレゴン州ポートランドから30分ほどの太平洋岸北西部、いわゆる「シリコンフォレスト」内のワシントン州カマスに260エーカーの敷地を有し、100万平方フィートの製造施設(Fab11とも呼ばれる)には、約13万平方フィートのクリーンルームが設置され、0.35μmから0.16μmまでのロジック、SRAM、ミクスドシグナル、パワー半導体などのレガシー半導体チップを製造しており、中でも組み込みフラッシュプロセステクノロジーに重点を置いている。
TSMCのグローバル工場運営担当シニアバイスプレジデントであるY.P.Chin氏は、「今回の名称変更は、TSMC WashingtonがTSMCファミリー内で果たしている重要な役割を強調し、半導体業界におけるTSMCの遺産ともいえる継続的な成功と革新に貢献する。今回の社名変更は、TSMCの世界的な知名度を活用して、事業活動における子会社の存在感を高め、パートナーシップを強化し、米国半導体業界のトップ人材の受け入れ先としての地位を確固たるものにする戦略的な判断に基づいている」と述べている。
なおTSMCは、台湾域外に以下のように複数の工場を所有しており、所在地によらず設置順にファブに番号が割り振られている。ただし日本とドイツの工場は、現地企業との合弁であるため、社名の一部に今のところTSMCの名称は入っていない。
- Fab 10:TSMC China Company Limited(中国:8インチ)
- Fab 11:TSMC Washington(米国:8インチ)
- Fab 16:TSMC Nanjing Company Limite (中国:12インチ)
- Fab 21:TSMC Arizona(米国:12インチ建設中)
- Fab 23:JASM(日本:12インチ建設中)
- Fab番号不明:(ドイツ:12インチ建設計画)