Samsungが次世代パッケージ研究拠点を横浜に設置
Samsung Electronics(サムスン電子)が、神奈川県横浜市西区の「みなとみらい21地区」に 半導体の次世代パッケージング技術の研究拠点「アドバンスド・パッケージ・ラボ(Advanced Package Lab:APL)」を新設することを決定したと12月21日、横浜市経済局企業誘致・立地課が発表した。また、経済産業省(経産省)は同日、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の採択事業者として同社日本法人の日本サムスンを選定。助成金を支給する予定であることを発表した。
APLと名付けられた研究組織は、合計2000坪の面積に技術研究ができる施設やオフィスなどを構え、2024年度の開設が予定されている。投資規模は今後5年間で400億円を上回る予想で、その研究対象としている先端パッケージング技術は、半導体業界が迎えつつあるプロセス微細化による性能向上の限界を突破するための方法の1つとして注目されている2.5D/3Dパッケージング技術を進化させることを目的としたもの。種類の異なる半導体を水平・垂直につなげるヘテロジニアス・インテグレーション技術を活用し、より小さなパッケージに、よりたくさんのトランジスタを集積しることで、1パッケージ内でさまざまな機能を実現することを目指すという。同社では今後、半導体実装担当技術者を募集するとしている。
経産省も助成を決定
また、この動きに併せるように経産省も同日、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業の開発テーマ「高性能コンピューティング向け実装技術」の助成金支給先として、日本サムスンの提案を採択したことを発表している。
助成金は同事業の規定により、最大200億円が見込まれている。次世代パッケージング技術の研究拠点としては先行してTSMCが茨城県つくば市に「3DIC研究開発センター」を2022年に設置墨。Intelも同様の研究拠点を日本に設置する方向で製造装置や材料メーカーと協議を重ねていると言われており、世界トップクラスの半導体製造装置・材料メーカーが多い日本で先端半導体メーカー各社が次世代パッケージングの研究開発で競うことになりそうである。日本政府はこれらの研究組織の投資額の半額程度を傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通して助成する方向にあるという。
Samsung Electronicsの慶桂顕(キョン ゲヒョン)CEOは今回の横浜市の発表に際し、「先端パッケージ事業と技術を強化していく中、横浜市にパッケージ研究拠点を開設することを発表できてうれしい。サムスンは技術研究を続け、半導体全般のリーダーシップを強化していきたいと考えている。横浜はパッケージ関連企業が多く、優秀な大学と人材もあるため、業界、大学、研究機関などと協力するのに適した場所である。最適な場所で研究活動を展開していくことができ、研究拠点の開設をサポートしてくれた横浜市に感謝する」と述べている。
なお、Samsungの日本における研究組織であるSamsung Device Solutions R&D Japanは、すでに横浜鶴見(材料、デバイス、プロセスなど)、横浜みなとみらい(システムLSI、次世代半導体、TCADなど)、大阪(電池、電子部品など)の国内3か所に拠点を開設済みである。