日立ハイテクグループの分析計測装置メーカーである日立ハイテクサイエンスは12月20日、同社の熱分析装置「NEXTA DSCシリーズ」のオプションとして装置上部に設置することで、フィルムの不良原因となっているフィッシュアイの解析などを可能とする「偏光顕微観察オプション」を発売した。
確立されていなかったフィッシュアイの解析手法
これまでフィルム製造時に未融解のまま残った樹脂の一部が引き起こすフィルムの不良原因である「フィッシュアイ」についての解析手法は確立されておらず困難な業務とされてきた。そのため、フィッシュアイの発生を低減させるためには、熱分析装置などの加熱装置と顕微鏡などの解析装置を組み合わせて融点を解析する手法が取り入れられてきたという。
熱分析装置に求められていた低フィッシュアイ化
熱分析装置は、産業分野を中心に基礎研究から製品開発、品質管理など幅広い各種材料の分析に活用されている分析装置。同社のDSCシリーズも、物質を加熱した際の結晶が生成される温度や融解する温度など測定ニーズに対応してきたというが、近年、食品の梱包や電子機器のディスプレイなどに使用される機能性フィルム分野において、フィルム表面の平滑性を確保する低フィッシュアイ化や、酸素や水蒸気など気体の遮断性を高め梱包した物体の品質を保証するためのガスバリア性を向上する複層フィルムの開発が求められるようになっており、その実現に向けた製造工程改善箇所の絞り込みや、フィルムの結晶配向などといった基礎的な研究の高精度化・効率化に対するDSCの活用ニーズが高まっているとのことで今回、そうしたニーズに対応することを目的に、DSCシリーズ1台のみでフィッシュアイの融点解析を可能とするオプションの開発を決定したという。
偏光顕微観察オプションの主な特長
DSCシリーズと組み合わせて活用される同オプションは、フィッシュアイの低減を実現することを目的に、20Mピクセルの高解像カメラを採用。これまでDSCのオプションとして提供してきた「試料観察オプションReal View」と比べて10倍の高解像度および50倍のデジタルズーム対応を実現。これにより、フィッシュアイをはじめとした微小領域の観察を可能にしたとする。
また、新たに開発した偏光観察に特化した独自の画像処理機能を搭載することで、従来のDSCシリーズ単体では検出が難しかったフィッシュアイなどの微小領域の融点解析を実現。偏光調整ユニットで測定対象箇所を鮮明化させた後、DSCシリーズでの測定と同様の簡単な操作で、フィッシュアイや複層フィルムの層ごとの融点解析を可能としたという。
なお同オプションは日立ハイテクサイエンスが製造ならびに国内・海外向け販売を行うが、海外向けにはHitachi High-Tech Analytical Scienceでも販売を行うとしている。