コーセーでは2020年にAWS Lambdaを中心とするサーバレス構成のID基盤を構築、以前からのEC2のシステムを、コンテナを使ったECSにリアーキテクトするなど、モダンアプリケーションの開発に取り組んできた。しかし2023年にID基盤の機能アップデートを行う際、課題に直面したという。同社 情報統括部 DX推進課の池田一樹氏は、課題を抱え続けてきた理由の1つが「クラウド×サーバレス=モダンアプリケーションだと思い込んでいたこと」だと明かす。12月6日~7日に開催された「TECH+フォーラム クラウドインフラ Days 2023 Dec. クラウドネイティブへのシフト」に同氏が登壇。コーセーが直面した課題とその対応を中心に、モダンアプリケーション戦略の考え方について解説した。
アプリケーションのモダナイズで変化に迅速に対応
池田氏はまず、モダンアプリケーションとは、アプリケーションの設計、構築、管理を継続的に見直し、常に変化を受け入れられるようにする開発戦略のことであるとした。そしてその実現方法として、管理工数を削減できるサーバレス、システムの稼働率を可視化できるモニタリング、部品化した機能を組み合わせて変更の影響範囲を限定したり、リクエストの特性に応じたスケーリングが可能になったりするモジュラーアーキテクチャ、そしてCI/CDによる継続的な開発とデプロイの自動化が可能になるリリースパイプラインの4つを挙げた。
これらを実現すると、市場投入を加速できるというメリットがある。構築時間を短縮して迅速にPoCを実施できるため、どの施策が効果的であるかを見極められるためだ。またコストも最適化できる。従量課金でも必要な分だけプロビジョニングすれば良いし、サーバレスなので運用工数も削減可能だ。自動化や管理対象の縮小によってインシデントを削減でき、信頼性も向上する。
「アプリケーションをモダナイズすることで、変化に迅速に対応できる俊敏性を実現することができます」(池田氏)