富士通は12月19日、O-RAN仕様に基づくネットワーク運用管理装置(SMO:Service Management and Orchestration)「Virtuora Service Management and Orchestration」(以下、Virtuora SMO)に、ユーザーの位置情報の分布から通信トラフィックを推定するAI技術を適用した省電力アプリケーションを搭載し、RAN装置との接続試験実施した結果、基地局ごとにトラフィックを推定する従来の手法と比較して20%以上の省電力効果を確認したことを発表した。
接続試験の概要
接続試験では、省電力アプリケーション、Closed RAN、Open RAN、マルチRAT(Radio Access Technology)の共存を可能とするRAN統合制御機能「Virtuora Mobility Controller」などを搭載したVirtuora SMOと、Open RAN RIC(Ran Intelligent Controller)、xApps、rAppsを検証するためのAIトレーニング、テスト、測定を提供するVIAVIのRIC Tester「TeraVM RIC Test」からなる検証設備を構築した。
富士通はマルチベンダーでの接続評価、VIAVIはRANシナリオの生成と省電力の分析監視を主に担当した。AT&T Communicationsはアドバイザーとして参画し、オペレーター視点でのテスト項目や運用観点でのレビューを行った。
試験に使用した通信トラフィック推定AI
接続試験で使用したVirtuora SMOには、富士通のAI技術を適用した省電力アプリケーションを搭載。このAIはユーザーの位置分布データをもとに100メートル四方の細かいエリア単位で通信トラフィックを時系列に予測する「アンサンブル時系列予測技術」と、エリア単位ごとにカバーしている複数基地局の中からスリープするセルと起動するセルの組み合わせを選択し最も省電力効果の高い組み合わせを切り替える「組合せ最適化技術」で構成される。
このAI技術を適用した省電力アプリケーションを使用することで、数百メートルから数キロメートル四方を単位として基地局ごとのセル単位でトラフィックを推定する従来の手法と比較して、20%以上の省電力化を実現できたとのことだ。