中国ファウンドリ最大手SMICが出資し、上海に本社を構えるファブレス半導体設計会社「Brite Semiconductor」が米国EDAツールベンダのSynopsisならびにCadence Design SystemsのEDAソフトウェアを購入し続け、さらに米国企業から資金調達も行っているとReutersが報じている。
米国の対中半導体規制下で、欧米のEDAハードウェアやソフトウェアの入手が厳しく制限されている中国のファブレス企業が先端半導体の設計を継続して行えていることが不思議とされてきたが、Reutersによると今回の報道に対して、米商務省をはじめとする関係者はノーコメントとしているため、米国政府の定める輸出ルールに違反しているかどうかの確認が取れていないという。
また、Brite Semiconductorは少なくとも6つの中国軍事サプライヤ企業に対して半導体設計サービスを提供している模様だという。同社は2008年に中国および米国企業の出資で上海に設立されたファブレスで、米国にも子会社Brite Semiconductor(U.S.A)を有している。同社の株式の19%保有する最大株主はSMICだが、米大手銀行のWells Fargoが出資する米Norwest Ventur Partnersも13.5%の株を、米Biola Universityが所有するBrite Eagle Holdingsも5.4%の株を所有しているという。
知名度の低い企業を使って米国のエンティティリストへの記載を回避か?
同社の最大株主であるSMICは、中国軍との結びつきが疑われるとして米商務省の「エンティティリスト」に掲載され、米国企業からの半導体関連製品の購入を実質的に禁じられているが、米国の対中半導体規制に対しては、知名度の低い弱小企業や中国資本であることを隠した米国企業、第3国のブローカーを活用するなど、さまざまな抜け道があるようで、今回のReutersの指摘が事実であれば、規制に実効性を持たせるのが難しいことが浮き彫りにされたこととなる。
なお、報道によると、対中タカ派として強い影響力を持つ共和党のマルコ・ルビオ上院議員は、「輸出規制と投資制限に対するバイデン政権の行き当たりばったりのアプローチは、明らかに機能していない」と述べたという。