東京ビッグサイトにて12月13日~15日にかけて開催されていたDX時代を支えるエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2023」にて、キヤノンは一連の半導体製造プロセスにかかる高性能なトータルソリューションを展示していた。

半導体製造のトータルソリューションを展示しているキヤノン

同社ブースでは、2023年10月に商用化を発表したローパワーで消費電力を抑え最小線幅14nmの回路パターン形成を低コストで実現できるナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」の提案をはじめとする、ウェハの露光の前工程、後工程、成膜、接合や基板の配線、切断、個片化、はんだ形成までさまざまな半導体製造工程で使用できる高性能なソリューションを展示。来場者から注目を集めていた。

  • 300mm CGHウェハと300mmメタレンズウェハの展示

    300mm CGHウェハと300mmメタレンズウェハの展示

2.5D向け超大型パッケージサイズを実現可能なウェハステッパ「FPA-5520iV LF/LF2オプション」

近年、高性能半導体製品が増えるにしたがって、パッケージの大型化も進んでいるといったこともあり、同社ブースでは2.5Dの超大型パッケージサイズを実現可能なウェハステッパ「FPA-5520iV LF/LF2オプション」の提案も行われていた。

2.5Dの大型パッケージは、前工程で製造された半導体チップが後工程でパッケージングされた後、ショットを2×2でつなぎ合わせる形で露光することで製造されるが、同装置のLF2オプションでは、1ショットあたり52×68mmを0.8μmの解像力で露光できるほか、2×2でのショットでは100mm×100mmを超す露光を可能とするという。さらに、従来のLFオプションに比べて歪曲収差を4分の1以下に改善しており、歪みを少なくしたなめらかなつなぎ露光ができる点もポイントだという。

ほかにも、無駄なく生産でき高い生産性を実現する515×510mmの大型四角基板にも対応したパネルステッパ「FPA-8000iW」も提案していた。同装置は、広画角の露光が可能で、解像力1.0μmを実現しているとする。角基板だと丸に比べて装置の工程位置も難しく、ウェハを動かすのもぶつからないようにするのが大変だというが繊細な動きが可能で、パネルあたり81パッケージ、有効なパッケージエリア93%を実現しているとした。

  • 大型四角ガラス基板の展示

    大型四角ガラス基板の展示

ワイヤボンディング外観検査装置「BESTEM-V110」は実機も展示

このほか、高生産性と安定品質でデバイスの量産に貢献できる300mmウェハ対応IC・LSI用ダイボンダ「BESTEM-D510」や同200mm対応の「BESTEM-D310」の提案では、接合材のツインディスペンスを活用した良品や不良品についての例も展示されていた。

ICチップを重ねていく際には、はんだペーストをバツ印にぬり重ねていくとのことだが、盛った量が薄かったり、広がらずに厚いままになっていたり、角度が傾いていたりするものは品質を確保できなくなってしまうという。

  • 良品・量が少ない・傾きが分かりやすく表されたデモンストレーション

    良品・量が少ない・傾きが分かりやすく表されたデモンストレーション

そのため盛るための角度を正確かつ精密につけていかねばならず、フチからはんだが少しみえる状態(良品)、フチから少しもはんだがみえないと薄いと判断(不良品)といった高精度な判断を行うことが重要とした。

さらに、高性能3D寸法計測によるワイヤボンディング外観検査装置「BESTEM-V110」は実機での展示が行われており、来場者からの注目を集めていた。

  • ワイヤボンディング外観検査装置「BESTEM-V110」の外観

    ワイヤボンディング外観検査装置「BESTEM-V110」の外観

これは、ワイヤループやウェッジボンド、ボールボンドなどの高さや位置、形状などの検査を簡単操作で行うことができ、高精度の3D寸法計測によりワイヤボンディング後の外観不良を自動で検知してくれる装置。また、計測されたデータはデータサーバに収集されるため、スマートファクトリの実現にも貢献できるとしている。

  • カメラで検査されている様子

    カメラで検査されている様子

実際の同社ブースで行われていたデモンストレーションでも、組み込まれているカメラで撮影された画像を基に精密な3Dデータが描画されていき、簡単な操作で3D化された画像を画面に映し出し視覚的に確認できる様子が紹介されていた。

  • 画面上で3D化されたワークの様子

    画面上で3D化されたワークの様子