マクニカは11月29日、年次カンファレンス「Macnica Exponential Technology 2023」を開催した。同カンファレンスに、メディアアーティストでEXPO2025 大阪・関西万博(以下:大阪・関西万博) テーマ館プロデューサーを務める落合陽一氏が登壇。
2025年4月から開催される大阪・関西万博にて落合氏が出展するシグネチャーパビリオン「null2」で実証予定のデジタルヒューマン型ID「Mirrored Body」の概要を最新情報とともに発表した。
落合氏はパビリオンの中でどのようなメッセージを表現するのか、デジタルヒューマン型IDとはどういうものなのか。本稿では当日同氏から語られた構想と、披露されたデモの様子をお伝えする。
“鏡”をメインのコンセプトに
冒頭、落合氏は大阪・関西万博におけるパビリオンの出展物について「リソースに制限があるため、針の先を貫くようにコンテンツを絞って、美しいものを作る必要がある」との考えを述べた。
その上で同氏がテーマに据えたフレーズは「命を“磨く”」だ。磨くというワードから連想した、「鏡」を使ったパビリオンを建設していく。
「日本において鏡は、神事で用いられることもあった歴史的な存在です。また、“磨く”という言葉には『考えを磨き上げる』といった使い方をするほかに、『きらめく』『輝く』みたいな表現もありますよね。パビリオンでは、物理的な鏡の中で、“デジタルの鏡”を使った身体的な体験を提供します」(落合氏)
幾多の鏡に囲まれるパビリオンに
パビリオンの外観について落合氏は「人類が未だ作ったことのない有機変形建築」と説明する。
イベントではバーチャル環境にパビリオンを再現したデモが行われた。鏡のような銀幕に覆われた建物は、銀幕自体が伸縮する素材となっており、どこから見るかによって見える景色が変わってくる。また、建物に複数のロボットやアクチュエーターを組み込み、パビリオン外観の見せ方を変える仕組みを操作・制御している。