大日本印刷(DNP)は12月12日、半導体製造の最先端プロセスに適用されるEUV(極端紫外線)リソグラフィに対応した、3nmプロセス相当のフォトマスク製造プロセスを開発したことを発表した。
先端半導体の製造に欠かせないEUVリソグラフィ
近年、10nmを下回るような先端半導体プロセスではEUV光源を用いるEUVリソグラフィが量産で活用されるようになっており、2023年には3nmプロセスを採用したロジック半導体の製造も開始されたほか、次世代となる2nmプロセスも2025年ころから量産への適用が見込まれているなど、半導体の回路線幅の微細化は今後も継続していくことが予想されている。
また、メモリ半導体においてもEUVリソグラフィの採用が進んでおり、最先端プロセスを採用した半導体の供給におけるEUVへの対応は欠かせないものとなりつつある。DNPでは、こうした半導体の高性能化に伴う回路線幅の微細化ニーズに対応することを目的に、これまでも2020年に5nmプロセス相当のEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスを開発。今回の取り組みでは、さらなる微細化ニーズに対応することを目的に、3nmプロセスに相当するEUVリソグラフィ向けフォトマスクの開発が行われた。
先端領域の半導体製造への対応を強化
3nmプロセスへの対応にあたって同社では、2016年に導入した約26万本の電子ビームを照射可能な「マルチ電子ビーム(EB)マスク描画装置」を活用した製造プロセスの改善、ならびにデータ補正技術やEUVリソグラフィ向けフォトマスクの複雑な曲線パターン構造に合わせた加工条件の最適化などを行うことで実現したとする。
また、新たにマルチEBマスク描画装置を増設し、2024年下期に稼働を開始させる予定としており、これによりEUVリソグラフィ向けフォトマスクなど先端領域の半導体製造の対応強化を図っていきたいとしているほか、imecと次世代EUV露光装置向けフォトマスクの共同開発も推進していくことも計画しているという。
なお、同社は今回開発した3nmプロセス相当のEUVリソグラフィ向けフォトマスクを国内外の半導体メーカーや半導体開発コンソーシアム、製造装置メーカー、材料メーカーなどへ提供していくほか、EUVリソグラフィの周辺技術開発も支援していくことで、2030年には年間100億円の売り上げを目指すとしているほか、imecを中心とした先端プロセスの実現に向けてアパートナーとの共同開発を通じて、より微細な2nm以降のプロセス開発も進めていく計画としている。