HORIBAグループで半導体事業を展開する堀場エステックは12月12日、同社主力製品のマスフローコントローラ(MFC)や薬液濃度モニターなどの生産拠点として、京都府福知山市に新工場を建設することを発表した。
HORIBAグループの半導体事業は、同社の中長期経営計画「MLMAP2023」で掲げた売上高および営業利益目標を2年前倒しで達成するなど、好調に推移している。成長を牽引するMFCにおいては、堀場エステックが約60%の世界シェアを誇っており、その生産体制拡充に向けて阿蘇工場での増産や海外生産体制の強化に取り組んできたという。
しかし同社は、中長期的にさらなる成長が期待される半導体市場において、MFCメーカーとして供給責任を果たしていくため、さらに今後のあらゆる計測需要に応えるため、より一層の生産体制強化が必要だと考え、研究開発拠点であり2025年4月に新棟竣工予定の「京都福知山テクノロジーセンター」に隣接する形での新工場の建設決定に至ったとする。
堀場エステックによると、新工場建設にあたってはHORIBAグループにおいて過去最大級となる約170億円の投資を行い、自動化生産ラインや搬送ロボットなどといった最新設備を活用して、自動化・効率化を促進する量産技術の基幹工場として、幅広い用途に応用できる約1万m2の広大な生産エリアを備える予定とのこと。これにより、国内におけるMFC生産能力を、現状の2工場(京都・阿蘇)での生産能力から約3倍まで拡張することが可能になる見込みだ。
またもう1つの主力製品である薬液濃度モニターの生産も行うとともに、自社製品用のプリント基板や、半導体事業に関わる製品・システム、さらには同事業以外の生産も計画するなど、全方位で長期的な安定供給体制の確立を目指すという。加えて、隣接する研究開発拠点の京都福知山テクノロジーセンターとの連携により、流量標準技術の早期実装や新製品の開発サイクル加速を促進するためのシナジーにも取り組むとしている。
さらに、昨今重視される環境負荷低減への取り組みとしては、水素発電を用いた再生可能エネルギーシステムなどを導入するとのことで、これにより工場全体での省エネを目指すとする。なお新工場は2024年7月の着工、2026年1月の竣工が予定されている。