TSMCが日本の熊本県に建設している合弁会社JASMによるファブ(熊本工場)の開所式典を2024年2月下旬にも開催する計画だと、日本政府に近い関係者からの証言として複数の台湾メディアが報じている。
JASMのファブ(TSMCではFab23と呼称)は2024年末までに量産開始を目指しており、台湾からTSMCのエンジニア350人とその家族の合計750人ほどが2023年8月から9月にかけて熊本入りを果たしており、TSMCの台湾ファブにて行われていた長期研修を終えた日本人技術者たちと協力して2023年10月より製造装置の搬入を進めている。2024年第2四半期の前半にもウェハの投入を開始し、試作(リスク生産)を開始する計画だというが、この試作開始時期が2024年2月下旬に前倒しされる可能性があるという。また、この式典の席にて、TSMCは7/6nmプロセスを採用すると見られる熊本第2工場(Fab23 Phase2)など、日本での今後の投資計画について明らかにすることも予想されているという。
式典にはTSMCのCEO兼社長である魏哲家(C.C.Wei)氏や同社のサプライチェーン関係者のほか、日本政府の閣僚級政治家や政策担当者も出席すると予想されており、2月下旬での開催は、日本政府の半導体戦略のスケジュールに合わせるためだという。
TSMCの広報担当者は、熊本第2工場については検討を行っている段階であり、現時点で新たに公表できる情報はないとコメントしたというが、TSMCの台湾でのサプライチェーン関係者情報によると、熊本第2工場は2024年4月の着工、2026年末からの7nmプロセスを採用した生産開始を計画している模様だという。
なお、台湾政府の王美華経済部部長(日本の経済産業大臣に相当)は12月11日、台湾メディアとの共同インタビューで、「TSMCによる日本の工場稼働に向けたスケジュールは世界最速であり、日本政府と地方自治体の支援に感謝している。日本は半導体サプライチェーンにおける重要な資材・装置の供給国であり、台湾と日本はこの点ですでに緊密に協力しており、今後も両国のサプライチェーンにおける相互投資を積極的に推進していく」と述べたと台湾メディアは伝えている。