アクサスは12月12日、ITエンジニア歴3年以上の人と、人材紹介会社のエンジニア採用支援担当者を対象に実施した「理想の転職と実際の求人」に関する調査結果を発表した。エンジニアと採用支援担当者間で市場価値となる「技術スキルの汎用性」に認識の乖離があることが明らかになった。
採用支援担当者に対してエンジニアの求人数が多い職種を、エンジニアに対して今後携わりたい職種を尋ねたところ、「プログラマー(-8.2%)」の需給ギャップが最も大きかった。大半の職種で需要が供給を大幅に上回っている一方で、「プロジェクトマネージャー(4.0%)」と「ITコンサルタント(3.4%)」は供給が需要を上回っていた。
採用支援担当者に対してエンジニアの求人数が多い業界を、エンジニアには今後携わりたい業界を聞くと、「物流・運送(-8.0%)」の需給ギャップが最も大きく、「資源・素材(-7.8%)」が僅差で並ぶ結果となった。IT化・DX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進でエンジニアの求人数が相対的に少なかった業界でも、エンジニアの活躍できるポジションや規模が拡大する可能性がうかがえる。
採用支援担当者に対してエンジニアの求人数が多い工程を、エンジニアには今後携わりたい工程を質問したところ、「プログラミング(製造)(−12.7%)」と「システム移行(−12.1%)」といった製造工程・下流工程において需給ギャップが大きく、実務担当者の確保が課題となっていることが明らかになった。
一方で、「要件定義(5.5%)」や「提案・プリセールス(3.9%)」といった上流工程は、市場の需要よりも携わりたいエンジニアの供給が上回った。
採用支援担当者に対して企業から求められる言語スキルで多いものを、エンジニアに対してこれまで身に付けた言語スキルを尋ねると、「SQL(11.94%)」と「Python(8.0%)」といったデータベースを活用する言語スキルにおいて、供給が需要を大きく上回った。
しかし、現在はデータ抽出・加工ができるこれらの需要は高まっているため、将来的には求人の増加が見込まれるとアクサスはみている。
採用支援担当者に対して仕事の紹介が難しいと感じるエンジニアに不足しているものを、エンジニアにはエンジニアとしての自身の市場価値を尋ねると、エンジニアは「技術スキルの汎用性(エンジニア32.8%)」が最多である一方で、採用支援担当者にとって仕事の紹介が難しいエンジニアに不足しているものも「技術スキルの汎用性(採用支援担当者32.7%)」が最多であった。このことから、エンジニアと採用支援担当者のそれぞれが考える「技術スキルの汎用性」に乖離があると考えられる。
これらの調査結果から、ITエンジニアの理想の転職と採用支援担当者が保有している求人には、それぞれの項目においてギャップがあることが明らかになった。エンジニアと採用支援担当者が考える「技術スキルの汎用性」には認識の乖離があるが、自身では汎用性があると考えている経験やスキルでも、他人からは限定的・専門性と判断されるような主観と客観の差異が現れているという。
IT業界の理想の転職には探求心を持ってさまざまなスキルを学び、かつ客観的に自身のスキルや経験の強みを認識して市場価値に転換する力が重要になっていくとアクサスはみている。