KDDIとKDDI総合研究所は12月8日、次世代暗号である完全準同型暗号を使い、暗号化されたデータをそのまま高速に分析する手法の開発に成功したと発表した。
完全準同型暗号の特徴は、データを暗号化したまま分析できるため安全性が非常に高い点。そのため、同暗号の実用化により、医療データなどの機密性の高いデータを暗号化したままさまざまな操作ができることが期待されている。
完全準同型暗号では、暗号化を行う際に安全性を確保するため乱数をノイズとして加えるが、暗号化したデータを使って演算を行うと、各データのノイズが累積し処理できなくなる。
したがって、ブートストラップ処理が必要になるが、従来の完全準同型暗号では、ブートストラップ処理に要する計算量が大きく、演算時間がかかることが課題だった。今回、開発された新たな手法では、ブートストラップ処理を1.6倍高速化することに成功。
両社は完全準同型暗号の基本演算処理の高速化にも取り組んでおり、標準的な手法と比較し、加算において100倍、乗算において60倍の高速化を達成したという。
両社は、完全準同型暗号の2030年代半ばでの実用化を目指している。