中堅半導体洗浄装置メーカーであるジェイ・イー・ティ(JET)が、2nmプロセスでの半導体量産を目指す日本のRapidus(ラピダス)より次世代半導体製造技術の研究開発業務を受託したと発表した。
受託業務の内容については、 受託先との守秘義務契約より公表を差し控えるとJETでは説明しているが、今後、ラピダスが北海道の千歳市に建設を進めている半導体製造ラインへ同社の装置の納入を目指すとしている。
JETの前身はリーマンショックの影響で破産した日本の洗浄装置メーカーSES
JETは、2008年のリーマン・ショック後の2009年1月に民事再生法の適用申請を行い、同年5月に破産手続きを行った日本の洗浄装置メーカーであったエス・イー・エス(SES、旧三協エンジニアリング)を前身企業とし、SESの韓国における販売代理店であったZEUS(本社は韓国京畿道華城市)が2009年4月に全額出資する形で設立された。2009年5月にSESの岡山グリーンテクノ工場などを事業譲渡により引き継いで半導体向け洗浄装置を中心に事業を展開。2023年9月には東証スタンダード市場への上場を果たし、調達した資金を使って、現在の本社工場の1.5倍規模の工場を新設するとともに研究開発の環境を充実させるとしている。
ラピダスへの納入は枚葉式洗浄装置か?
半導体洗浄装置はSCREENと東京エレクトロンで世界の7割超のシェア(金額ベース)を有するともされる寡占市場だが、JETは顧客の要求仕様に合わせて細やかなカスタマイズを可能とするという点で、大手装置メーカーが手掛けるカスタマイズの自由度の低い洗浄装置とは一線を画す、差別化された技術で対応する事を武器に事業成長を果たしてきた。
ラピダスは短TAT(製造期間短縮)でほかの大手半導体メーカーと差別化することを掲げ、オール枚葉処理(従来のバッチ式ではなくシリコンウェハをすべて一枚ずつ処理)による製造ラインを構築することを目指している。その実現のためには、特殊仕様の枚葉式洗浄装置を入出必要があることから、両社の思惑が一致し、今回の受託開発につながったものとみられる。