2023年12月6日から8日にかけて新潟県新潟市の朱鷺メッセで開催されている「第30回ディスプレイ国際ワークショップ(The 30th International Display Workshops、IDW’23)」にて、九州大学発スタートアップのKOALA Techが「OSLD(Organic Semiconductor Laser Diodes:有機半導体レーザー)」の開発成果を発表した(講演番号OLED4-4L)。

講演のタイトルは、「Directional and High Color Purity Laser-like Light from Organic Semiconductor Electroluminescent Device」である。OSLDの電流励起で直進性を持った単色光を発するデバイス構造を開発し、発散角度3度以下の良好な直進性、半値幅2nm以下の単色性を再現性良く発信することを確認したことが報告された。

今回の発表のポイントは、DFB(Distributed Feedback:分布帰還型)共振器の構造最適化にある(図1)。KOALA Techが有するシミュレーション技術によって最適な構造を見いだし試作した結果が、今回の良好な特性を得たとする(図2)。

OSLDは2019年に九州大学で初めて電流励起による発振を実現したが、高い指向性を持った単色光を再現性良く確認したのは今回が初めてのことであり、今後の商用化に向けた重要な一歩であるとしている。なお、本件の口頭発表がIDW会期中の2日目午後に行われ、3日目の昼にはI-DEMOのセッションで実際の発光デモが行われる予定となっている。

  • KOALA Techが開発したOSLDの構造

    図1:KOALA Techが開発したOSLDの構造。左の図は従来のOLED構造。中央の図がGrating構造を有するOSLD構造。右の写真はGratingのSEM像 (出所:KOALA Techの発表資料より)

  • KOALA Techが開発したOSLDの発光特性

    図2:KOALA Techが開発したOSLDの発光特性。左図の従来OLEDの発光は広がりを持つ。中央が今回開発したデバイスからの発光で、発光スペクトルの狭い半値幅と強い指向性を示している。右の図はGratingによる共振の原理 (出所:KOALA Techの発表資料より)