アリババグループのグローバル研究機関である達摩院(以下、DAMOアカデミー)は12月6日、AI(Artificial Intelligence:人工知能)技術を用いて高精度で膵臓がんを検出する早期スクリーニング方法を開発したことを発表した。ディープラーニングに基づくこのアルゴリズムは、非造影CTスキャンで目視では観察しにくい膵臓の病変を検出し、画像ベースの膵臓がんスクリーニングを支援する。
Nature Medicine誌に発表された論文によると、3200以上の画像セットでトレーニングされたこのモデルは、主要な診断指標において特異度は99.9%(1000件中で偽陽性が1件のみ)であり、感度は92.9%を達成したという。この結果は人間の放射線科医の精度である感度34.1%、特異度6.3%を上回る。
DAMOアカデミーの研究者はモデル開発にあたって、10以上の医療機関と協力しAIベースのスクリーニング法を用いて2万人以上の患者をスクリーニングした。その結果、医師が以前に見落としていた病理学的変化を31例検出したとのことだ。
世界的に見ると膵臓がんはがん関連死因の第7位であり、平均5年生存率は約5~10%。他のがんに比べて生存率が低い一因は、治療が困難な後期に発見される例が多いためとされる。同研究機関が今回開発したAIによる早期スクリーニング技術は、医師による膵臓がんの早期発見を支援する。同技術は定期検診や救急外来での非造影CTの提供など大規模なスクリーニングにも応用可能だ。