日立製作所(日立)は12月6日、CHC Japan、Hartree Partners Singapore、三菱UFJ銀行と、日本での系統用蓄電池事業創出に向けた共同検討に関する覚書(Memorandum of Understanding/以下 MoU)を締結したことを発表した。

  • 系統用蓄電池事業の設計・達・建設/電力価格の予測システムおよび自動入札システムの開発

    系統用蓄電池事業の設計・達・建設/電力価格の予測システムおよび自動入札システムの開発

系統用蓄電池は、敷地内での利用ではなく電力ネットワークに直接接続して調整力を供給するもの。天候などの影響を受けやすい再エネの余剰分の吸収や調整力として供出することで、電力ネットワークの安定化や出力変動への素早い対応が可能。 しかし、系統用蓄電池事業向けの投資を拡大するには、電力市場での取引などのオペレーション面の効率化を通じた予見可能性の向上やコスト面の適正化といった課題があるうえ、投資家や金融機関が安心して資金供給できるビジネスモデルの構築も必要だという。

今回の協業では、系統用蓄電池事業の安定的な運営を支えるシステムの開発やコスト面の適正化を図った事業の創出を検討し、再生可能エネルギー電源の主力電源化やカーボンニュートラルな社会の実現をめざす。

各社の役割として、日立は、系統用蓄電池事業の設計、調達、建設および保守サービスを提供する。また、事業の安定的な運営を支えるため、人工知能などを活用した電力価格の予測システムおよび自動入札システムなどの開発によりDXを推進。プロダクトとDXの両面でCHC Japanの事業創出やビジネス環境の最適化を支援する。

CHC Japanは、電力取引や電力価格予測に関する専門知識を有するHartreeの支援のもとで日本における系統用蓄電池事業を開発し、日立と協働して系統用蓄電池事業の収益性を向上させるための蓄電池の技術保証を確保する。

三菱UFJ銀行は、日立と連携をしながら公的資金と民間資金を組み合わせた金融手法の確立も視野に、CHC Japanによる事業開発に対し財務的なアドバイスを行うことで事業の立ち上げを支援する。これらにより、系統用蓄電池事業におけるコスト面にも配慮した運用モデルを創出し、系統用蓄電池事業への参入に貢献するとしている。

今後は、 政府の「GX実現に向けた基本方針」に従い、さまざまな有識者との協創活動、グローバルで培ったOT(制御・運用技術)およびDXでシナジーを創出し、電力ネットワークの安定化や再エネ電源の開発・発展・電力価格の安定化に寄与し、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献するとしている。