半導体製造にも使われるPFAS
SEMIジャパンは12月5日、国際規制適合委員会(International Compliance and Regulatory Committee:ICRC)と協業し、「半導体製造におけるPFAS基礎情報(PFAS Explainer)」の日本語訳を公開したと発表した。
PFASは、構造の中に2つ以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物の総称であるが、定義される構造は国や機関によって異なる。現在、経済協力開発機構(OECD)で提案されている定義は炭素数が1つ以上、米国環境保護庁(EPA)の規則)に規定された定義では炭素数が2つ以上の化合物が対象となっている(いずれも炭素原子に結合する元素によって定義に非該当となる物質がある)。こうした定義上、PFASは空調機用冷媒として使用される低分子量のガス状物質から、航空機電線の被覆材に使用される高分子量のポリマーまで含まれ、その数は1万を超えるとされており、さまざまな物理化学性状を有する多様な化学物質群とされており、中には耐熱性、耐薬品性、難燃性、耐候性、高摺動性、耐電圧性などの優れた性質があり、半導体製造でも広く使われているが、環境や生態系に悪影響を及ぼすとして規制に向けた検討が世界各国で進んでいる。
7部構成で半導体企業にPFASの情報を提供
SEMIでは、半導体製造業界に関連するPFASの議論において規制や代替物質、半導体業界への影響などの 重要な点を説明することに加え、その他の点に関しても詳細かつ明確かつ簡潔に説明することを目指してPFAS ExplainerをSEMI PFASワーキンググループのメンバー主導により作成。2023年6月に初版が発行された。また、ICRCは、半導体製造装置・材料サプライヤの立場から、半導体産業がより安全で環境に優しいものとなるため、EHS規制要求に関する業界ニーズを探り、情報を共有し、適合に役立つツールを提供する活動を行っている日米協業の組織である。
PFAS Explainerは半導体製造サプライチェーンの企業にPFASに関する基本的な情報と詳細な情報を全7部の構成で提供されており、その7つのタイトルは以下の通り。
- はじめに
- PFASとは何か
- 半導体製造におけるPFAS
- PFAS規制
- PFAS含有コンポーネント
- 代替品
- アクション
なお、SEMIでは、PFAS Explainerは、英語版が正式なものであり、日本語版は日本の利用者各位の便宜のために作成した参考訳となるとしており、もし英語と日本語に差異がある場合は、英語版記載内容を参照するようにとコメントしている。
また、2023年12月13日~15日にかけて東京ビッグサイトで開催される予定の「SEMICON Japan 2023」において、14日にICRCのコーディネーションにより「国際EHS規制適合セミナー:規制強化の動きが進むPFAS、F-gas規制等の動向とサプライチェーンへの影響」も開催され、欧米を中心に進められるPFASの規制強化の動向と最新情報が説明される予定だとしているほか、このセミナーはオンラインでも視聴が可能だとしている。