アドビは12月4日、Webサイトの運営に直接携わる会社員300名を対象に実施した「PDFファイルのアクセシビリティに関する調査」の結果を発表した。Webサイト運営者の約6割がPDFのアクセシビリティ機能を利用し、約8割がAIによる生産性向上に期待していることが明らかになった。
同調査は、12月3日から実施される「障がい者週間」にあわせ、Webサイトなどで公開される企業のPDFファイルのアクセシビリティ対応についての実態を明らかにするために行ったもので、11月6日~11月7日、企画・マーケティング、販売促進、総務、デザイン・クリエイター、情報システムなどの部署に所属し、自社のWebサイトの作成や更新等の業務に直接関わっている会社員300名(従業員数300名以下の企業から150名、従業員数301名以上の企業から150名)を対象にアンケート調査を実施した。
PDFを業務で利用していると回答した担当者に、PDFの作成・管理ツールに含まれる「アクセシビリティ機能」を業務で使ったことがあるか聞いたところ、「頻繁に利用している」が24.2%、「ときどき利用している」が35.5%と、合わせて約6割(59.7%)が利用していた。「頻繁に利用している」と回答したのは、従業員300名以下の企業では12.3%、301名以上の企業では36.1%と約3倍の違いがあり、大企業であるほどPDFのアクセシビリティ機能を利用していた。
PDFを業務で利用していると回答した担当者に、作成・提供しているPDFコンテンツにおいて、WCAGなどの合理的な配慮を担保するためのアクセシビリティのガイドラインが適用されているか尋ねると、「全てのPDFに適用されている」が28.7%、「一部のPDFにのみ適用されている」が29.7%と、合わせて約6割(58.4%)の企業がアクセシビリティガイドラインを適用していた。従業員数別での適用率は、従業員300名以下の企業では半数以下の46.5%、従業員301名以上の企業では70.1%と大きな差があり、大企業に比べて中小企業ではガイドラインの適用率が低い傾向にあった。
企業が提供するPDFコンテンツの中で、アクセシビリティに配慮して行っていることについて聞くと「代替テキストや説明文の付与(36.9%)」、「しおり/ブックマークの付与(34.8%)」、「カラーコントラストの調整(33.8%)」、「文書内に検索可能なテキストを作成(32.4%)」となり、情報をアクセシブルにするための有効な手段としてさまざまな機能が適用されていることがわかった。
企業のウェブアクセシビリティはAIを活用することで向上すると思うかを聞いたところ、「とても思う」が32.0%、「どちらかというと思う」が45.7%と、約8割(77.7%)の担当者が、AIによる生産性向上に期待していることが明らかになった。