thumb_gengom_01

大規模言語モデル(LLM)とは

AIツールや言語モデルについて聞いたことはあるものの、詳しい仕組みを知らない方も多いのではないでしょうか。

大規模言語モデルは、自然言語処理の分野で使われる学習モデルの1つです。大規模言語モデルでは、大量のテキストデータを学習してデータの理解、生成、翻訳、要約など幅広い作業を実行します。

本記事では大規模言語モデルの仕組みや、言語モデルの種類、生成AIとの違いなどを詳しく解説します。AI分野に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

大規模言語モデルについて

AIツールの基盤となる大規模言語モデルですが、どのように作られているか知らない方も多いのではないでしょうか。まずは、大規模言語モデルの仕組みについて解説します。

大規模言語モデルは「Transformer」と呼ばれるニューラルネットワークアーキテクチャをもとに作られています。

ニューラルネットワークとは数学的モデルの1つで、機械学習やディープラーニングに広く使用されています。ニューラルネットワークは大量のデータを用いてディープラーニング(深層学習)を行うことで、画像認識や自然言語処理、音声認識などができます。

Transformerの特徴は、セルフアテンションメカニズムを利用することです。これは何かと言うと、文章の最小単位や単語の関係を理解しモデル化する手法を指します。

例えば「猫」という単語が「眠る」という単語と、関連があることを学習するといった具合です。この訓練を繰り返すことで言語モデルは文脈を理解し、文章生成ができるようになります。

ここからは、大規模言語モデルを活用してできることを紹介します。

大規模言語モデルを活用してできること

大規模言語モデルを活用すると、どういったことができるのか気になる方も多いでしょう。結論から言うと、大規模言語モデルでは感情分析やテキスト生成、コード生成、チャットボットなど幅広いタスクを実行できます。

テキストを生成するのはもちろん、プログラミングのコードを生成したり、質問に自動で回答したりするチャットボットを作ることも可能です。

また、感情分析ではその名の通り、テキストデータの感情を分析します。この感情分析の機能は特にマーケティングの分野などで活躍するでしょう。例えば、プロモーションを実施する際の文言を作成したり、顧客が心を動かされるようなテキストを瞬時に作成できます。

このように、さまざまなシーンで活用できるのが大規模言語モデルです。

大規模言語モデルの種類一覧

大規模言語モデルには、実はいくつかの種類があります。各大規模言語モデルは高い性能を持ちますが、それぞれのモデルによって特徴が異なります。

ここでは、主要な大規模言語モデルを厳選して6つ紹介します。

GPT-4

GPT-4(Generative Pre-trained Transformer 4)は、OpenAIが開発した大規模言語モデルです。このGPT-4はGPT-3の次世代バージョンとして知られており、前バージョンよりもさらに高度な自然言語処理能力を持っています。

また数千億にものぼるパラメータを持っており、高度な文脈理解が可能です。GPT4はAPIとしても提供されており、GPT-4を活用したアプリケーションやサービスを構築できます。

【参考】:GPT-4について
【参考】:OpenAIドキュメント 言語モデルの概要

BERT (Bidirectional Encoder Representations from Transformers)

BERTはGoogleが開発した大規模言語モデルで、双方向の学習ができるのが大きな特徴です。

BERTでは、テキスト分類や文章の意味の比較、機械翻訳、要約など様々な作業を実行します。またBERTのモデルはオープンソースで提供されており、エンジニアはこれを利用してアプリケーションも構築できます。

実際にBERTを使用してみたい方は、参考URLのリポジトリを参照してください。

【参考】:BERTについて
【参考】:BERT リポジトリ

XLNet

XLNet(eXtreme Learning Network)は、BERTよりも自然言語処理の性能が高いと言われる言語モデルです。このモデルは、BERTと同様に双方向の学習が可能な点と、ファインチューニングできる点が大きな特徴です。

ファインチューニングとは、大量のデータを利用して事前訓練が済んだモデルに対して、特定のデータを学習させ、それぞれのタスクに適合した言語モデルを構築することです。例えば、応答結果の語尾やファイル形式などの出力形式を固定したい場合、ファインチューニングを利用します。

【参考】:GitHub  XLNetのリポジトリ

Turing-NLG

Turing-NLGはMicrosoft Researchが開発した大規模言語モデルで、長文に対応していたり、会話型AI向けに作られたりしたモデルです。

アプリケーションを作りたいエンジニアはもちろん、ライターやクリエイティブな業務で着想を得たい方にとってもおすすめの言語モデルと言えます。

【参考】:Turing-NLGについて

ERNIE 3.5 (Enhanced Representation through Knowledge Integration 3.5)

ERNIEは、百度(Baidu)によって開発された大規模言語モデルです。このERNIEというモデルをさらにバージョンアップしたのがERNIE 3.5です。

ERNIE 3.5 は、プラグインが用意されているのが大きな特徴です。プラグインの1つである「Baidu Search」は、生成AIであるERNIE Botにリアルタイムで正確な情報を生成する機能があります。

その他にもプラグインをいくつか用意していますが、今後はさらにプラグインの数が追加される予定のため、AIに詳しい開発者でなくともERNIE 3.5を気軽に活用できるでしょう。

【参考】:ERNIEについて

Megatron-Turing NLG 530B

Megatron-Turing NLG 530Bは、MicrosoftとNVIDIAによって開発された大規模言語モデルであり、テキスト分類や質問への回答、要約、文章の生成、など様々なタスクに対応しています。

この大規模言語モデルの特徴は、5,300億という膨大なパラメータがあるという点です。この言語モデルには前モデルがありますが、それと比較して約3倍のパラメータを持つため、より高性能な応答ができます。例えば、常識的な推論や語感の曖昧さ回避なども可能となり、より精度の高い処理を実行してくれます。

【参考】:Megatronについて

大規模言語モデルと生成AIの違い

大規模言語モデルについてここまで解説しましたが、大規模言語モデルと生成AIの違いは何でしょうか。

大規模言語モデルはテキストデータを学習して、テキストを理解したり文章生成を行ったりするAIモデルの1つです。このモデルは巨大なデータセットを使い、単語と単語のつながりや関連性、意味、文脈などを理解します。

一方で、生成AIは自動的にコンテンツを生成するためのシステム全般を指します。つまりテキスト生成だけではなく、画像生成や音声生成、音楽生成、ビデオ生成などが含まれます。生成AIでは、機械学習モデルを使い与えられた条件から新しいコンテンツを作り出せます。

要するに、大規模言語モデルは主にテキストデータの生成や理解に特化しており、生成AIは画像や音声などのメディア形式でコンテンツを自動生成するシステムを指します。

両者はどちらも、人々の生活に革命を起こすほど便利なものですが、用途や目的が異なるということが分かりました。利用シーンに合わせて、どちらのモデルを活用するか考えると良いでしょう。

大規模言語モデルを日々の作業に活用しよう

本記事では、大規模言語モデルの仕組みや、大規模言語モデルの種類一覧について解説しました。言語モデルごとに得意とするタスクや対応言語が異なるため、大規模言語モデルの選定に悩んでいる方は、今回紹介したモデルごとの特徴を参考にしてください。

また、大規模言語モデルと生成AIとの違いも分かりました。自動化したい作業の目的に応じて両者をうまく使い分ければ、日々の業務スピードを格段に上げられます。本記事を参考に、大規模言語モデルをアプリケーション開発や日々の業務に取り入れましょう。