東芝デジタルソリューションズは12月1日、AI翻訳を活用した法令翻訳システムの提供を法務省で開始したことを発表した。法務省での4ヵ月間の試行運用を経て、2024年4月から全省庁で運用開始を予定している。
法令文は、括弧書きされた挿入文や複雑な修飾関係が含まれ長文になっているケースがある/文章内で主語が省略されるケースが多い/誤解が生じないよう高い正確性・統一性・一貫性が求められる──などの特徴があることから、AI翻訳にとって難易度が高い。そのため、一般的なAI翻訳に加え、法令文固有の課題を解決するプラスアルファの技術が求められていた。
今回稼動を開始した法令翻訳システムは、東芝デジタルソリューションズの自然言語処理技術に、情報通信研究機構(NICT)先進的音声翻訳研究開発推進センターが開発した法令専用の最新ニューラル翻訳モデルを組み合わせ、更に法令文固有の課題に合わせた追加学習などを行ったもの。
その結果、AI翻訳の翻訳品質を評価する指標のひとつである「BLEUスコア」が254.89をマークし、従来のAI翻訳では難しかった、法令英訳のルールに則った正確で自然なAI翻訳を実現したという。加えて、完成した翻訳文を法務省や他の所管府省庁が確認しやすいような編集機能も提供し、法令翻訳業務全体の業務効率化を目指したシステムになったとしている。