NTTコミュニケーションズ（以下、NTT Com）、ケーエスケー、和歌山県立医科大学、和歌山県、日高川町は11月30日、和歌山県日高郡日高川町において、ドローンと配送ロボットによる医薬品の長距離配送の実証実験を10月24日に実施した結果を公開した。

今回の実証実験は大規模災害の発生により陸路での医薬品の長距離配送ができない場合を想定している。ドローンを活用して医薬品を遠隔地に配送し、ドローンの着陸地点から患者宅へ配送ロボットが医薬品を運搬するという運用の実用化に向けて実施した。

  • 飛行中のドローン

    飛行中のドローン

  • 着陸態勢のドローン

    着陸態勢のドローン

実証では、近畿地方で活動する医薬品卸売業者であるケーエスケーが日高川町の国保川上の診療所から医薬品の発注を受けた場面を想定して、入野集落センターから日高川町美山公民館までドローンを用いて偽薬を配送した。

ドローンの到着後に医療従事者が顔認証を用いて本人確認を行い、配送ロボットに偽薬を積み替えた。配送ロボットは患者役となる人の元まで偽薬を運搬し、患者が偽薬を受け取る際には音声通話とQRコードによる本人確認を実施した。

  • ドローン飛行ルート

    ドローン飛行ルート

偽薬の配送時には、保冷ボックスの内部に温度センサーと加速度センサーを搭載し、内部が適切な状態で輸送できているかを確認しながら「レベル3」相当の飛行カテゴリにて配送した。18分59秒かけて約21キロメートル離れた日高川町美山公民館までの配送に成功。同時に出発した自動車は約42分34秒で到着している。

到着したドローンから病院関係者が偽薬を受領する際には、AIを搭載したNTT Comの顔認証ソフトウェア「SAFR」を用いて顔認証による受領者認証を行い、医療従事者が適切に受領していることを確認できたという。

ドローンで運ばれた偽薬は配送ロボットに積み替えられ、約150メートル離れた患者の元までの運搬に成功した。ドローンと配送ロボットの位置はNTT Comが提供する「RobiCo」の一部機能をカスタマイズして常時把握しており、迅速な積み替えを可能としている。

  • ドローンと配送ロボットの位置表示の例

    ドローンと配送ロボットの位置表示の例