2年に一度開催される世界最大規模のロボット専門展「2023国際ロボット展(iREX2023)」が2023年11月29日から12月2日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている。ヤマハ発動機のブースでは、「µ to km」をテーマに屋外から屋内まで一貫してできる初公開となる自動搬送のコンセプトデモなどを紹介している。
µ to kmのµはμm単位での位置決め精度の技術からkm単位での自動搬送まで可能とする同社の幅広い技術を示すもので、同社ブースの特設ステージでは、同社とティアフォーによって設立されたeve autonomyが手掛けるレベル4に対応した自動運転が可能な電動カート(ランドカー)を用いた自動搬送サービス「eve auto」による工場の屋外での荷物の自動搬送から、ビニールテープによるライントレースが可能なAGVとその上に搭載された協働ロボットによる荷物の積み下ろしと工場内搬送、そして協働ロボットによるワークのピッキングと加工機への設置といった一連のデモなどを見ることができる。
ここで活用されているeve autoはサブスクリプション形式にて、車両と車体のモニタリングや各種の指示だしなどを可能とするクラウドサービスなどを提供するもの。重量のある荷物の搬送や物流拠点などの荷物が大量にある分野などを中心に国内25社ほどがすでに導入済みで、屋外(敷地内)を5kmほど自動運転で荷物を運ぶといったケースも出てきているという、まさにµ to kmを体現するものとなっている。
また、AGVについても実際に同社の鋳造工場で使っているモデルとのことで、今すぐにでもできる技術を組み合わせてµ to kmが実現できることが示されていた。
ちなみにAGVに搭載された協働ロボットについてはまだ参考出展のモデルとなっていた。こちらは一般的な6軸ではなく、7軸とすることで人間の腕の動きにより近づけることを可能にしたということで、デモでは障害物を周りこんでの作業といったことも可能であることが示されていた。
このほか、参考出展としては衛生面で配慮が必要な現場でも活用できることを目指した「ウォッシャブルAGV」や設備が密集している現場から屋外まで高い静粛性を持ちつつ走行可能な「狭小AMR」なども展示されていた。
また、11月27日に発表したばかりのクリーンルーム対応のスカラロボット「YK-XECシリーズ」が初出展ながら実働デモを行っている様子を見ることができる。
ISO Class4に対応しつつ、価格競争力を追求したシリーズ。ロボットビジョンやプログラミングボックス、サポートソフトウェアなどを組み合わせてクリーンルーム内ではじめからやりたいことができる構築済みソリューションとして活用してもらうことを想定しているとのことで、ブース担当者は「簡単で安くて早い」がキーワードだとし、半導体の後工程などのほか、三品業界(食品・医薬品・化粧品)に対してソリューションとしてワンパッケージで提案することでイニシャルコストのみならず、ソリューション構築の時間や手間なども省けるメリットを打ち出していきたいとしていた。