2年に一度開催される世界最大規模のロボット専門展「2023国際ロボット展(iREX2023)」が2023年11月29日から12月2日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている。同展にて東7ホールにブースを構えるエヌビディア(NVIDIA)は、「Isaac Sim」をテーマにデジタルツインによるシミュレーション活用を提案している。

NVIDIA Isaac Simは、同社の開発した共同作業が可能な仮想プラットフォーム「Omniverse」を基盤にロボットシミュレーションを行うためのアプリケーションツール(Omniverse App)。現実世界をトレースし、仮想空間上に現実世界を再現してシミュレーションとして活用するデジタルツインとしての活用も可能で、今回の同社ブースでは、そうした活用法を前面に押し出していた。

デモとしては、NVIDIAそのものは半導体メーカーであるためパートナーの台湾Techman Robotが開発・製造するビジョンシステムとAI技術を内蔵した協働ロボット「AI COBOT」とIsaac Simを連携。現実世界では、ばら積みされたワークをAI COBOTがピッキングするというものだが、その裏の仮想空間では、ワークのCADデータがOmniverse上に展開され、AIモデル学習に使用するデータセット生成を可能にする合成データ生成フレームワークである「Omniverse Replicator」を介して、ワークのCADデータに対するピッキングの学習がシミュレーション上で施された結果をフィードバックするといったことが行われることとなる。

  • ばら積みのピッキング作業のデモ

    NVIDIAブースにおける協働ロボット「AI COBOT」によるばら積みのピッキング作業のデモ。これだけ見ると、ただの協働ロボットのデモに見える

実際、同社のブースでは、実際のAI COBOTの動きと連動したIsaac Sim上のシミュレーション映像もリアルタイムで表示されている様子を見ることができる。

  • デモをしているAI COBOTの動きをIsaac Simでリアルタイムシミュレーションしている様子

    デモをしているAI COBOTの動きをIsaac Simでリアルタイムシミュレーションしている様子も見ることができる。実際は先にシミュレーション上で学習させ、そのデータをAI COBOTが活用する形でピッキングが行われている

日本初公開のリファレンスデザインロボット「Nova Carter」

このほか、同社ブースでは2023年5月に開催された「COMPUTEX」にて発表され、日本では初公開となるリファレンスデザインロボット「Nova Carter(ノバ カーター)」の実機も展示されている。

これは、同社が提供する次世代AMRを実現するためのエンドツーエンドの自律型プラットフォーム「NVIDIA Isaac AMR」のエンドツーエンドスタックを体験するための評価用リファレンスロボットというもので、前後左右にステレオカメラおよび魚眼カメラ(合計8台)、上部に2D/3D LiDAR(合計3台)をそれぞれ搭載しているほか、ハードウェアとしてJetson AGX Orin(64GB版)システム・オン・モジュール(SOM)が搭載されたハイスペックAMRとなっている。

  • Nova Carter
  • Nova Carter
  • リファレンスデザインロボット「Nova Carter(ノバ カーター)」。ベースの車体はSegwayが開発を担当

実はCaterというAMR自体は、GTC 2018の基調講演の際に、同社のJensen Huang CEOが同社の新社屋をAMRに搭載したLiDARでマッピングした様子を見せたときのモデルが初代となる。Nova Carterはそれからさまざまな機能などがブラッシュアップされ、正式にリファレンスデザインロボットへと昇格されたAMRということとなる。

NVIDIA公式によるGTC 2018の基調講演まとめ動画。この2分30秒過ぎあたりに出てくるAMRが初代のCarter

ポイントは、ハードウェアから制御ソフト、シミュレーション環境に至るまでフルスタックでカバーするIsaac AMRを実際のAMRと組み合わせた形で、使いたい現場のデータを取得しつつ開発できるようになる点で、最適な機能選定や開発および実際の運用までの期間短縮などを期待することができるようになる。

最新版のJetosonを割引価格でその場で購入も可能

なお、同社ブースでは会期中、イベント特別価格で最新版Jetsonをその場で購入、持ち帰ることが可能だ。販売されているのは、以下の3種類。

  • Jetson Nano 開発者キットB01
  • Jetson Orin Nano 開発者キット
  • Jetson AGX Orin 64GB 開発者キット

価格はJetson Nano 開発者キットB01が通常価格2万1780円のところ1万7528円、Jetson Orin Nano 開発者キットが8万2335円のところ6万3360円、Jetson AGX Orin 64GB 開発者キットが32万9790円のところ25万3880円で、それぞれ先着150台、40台、10台が提供される。すでに初日の夕方時点で、Jetson Orin Nano 開発者キットが9台、Jetson AGX Orin 64GB 開発者キットが1台買われた方がいたとのこと。支払いはクレジットカードのみとなっているので、その点に関しては注意が必要である。

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  • 同社ブースでは特別価格でJetsonをその場で買って帰ることも可能(ただし各種台数に限りあり)