メドピアとリクルートメディカルキャリアは11月29日、医師の転職に関する調査結果を発表した。これによると、転職を考えるようになったきっかけは、業務負荷の高さや給与への不満が多いことが分かった。

同調査は両社が10月20日~25日にかけて、メドピアの運営する医師専用コミュニティ・サイトである「MedPeer」に登録する医療機関に勤務する医師2045人を対象に実施したものであり、有効回答者数は開業医を除く1822人。

なお、1年以内に何らかの転職活動を行った医師は集計対象全体の42.6%、「いずれ転職をしたい」という将来的な可能性を含めた転職意向のある医師は73.1%だった。

  • 調査結果の概要 出典: メドピア

転職を考えるようになったきっかけを聞くと、「業務負荷が高い」が32.7%で最も多く、以下「給与への不満」(32.6%)、「人間関係への不満」(28.8%)が続く。

  • 転職を考え始めたきっかけ(複数回答) 出典: メドピア

2022年にリクルートが実施した、企業勤務者が対象の転職活動者調査では、転職のきっかけの1位は「いまの会社の将来性に不安があるため」であり、これと比較すると、医療業界における医師特有の業務負荷の高さが推察されるとしている。

  • 転職を考え始めたきっかけ(企業勤務者、複数回答) 出典: リクルート

1年以内に何らかの転職活動を行った医師に職場選択で特に重視する条件を3項目ずつ選択させ集計したところ、給与条件が55.7%と最多であり、以下、休日・休暇(38.2%)、勤務時間・勤務体系(34.1%)の順だった。

  • 職場選択で特に重視する条件(複数回答) 出典: メドピア

同じく1年以内に何らかの転職活動をした医師に、転職活動中に不安を感じたことを聞くと、年収ダウンが46.5%で最も多い。

  • 転職活動中に不安を感じたこと(複数回答) 出典: メドピア

1年以内に転職した医師に転職活動中に苦労したか否かを尋ねたところ、67.9%が何かしら苦労があったと回答している。

  • 転職活動で苦労したことの有無 出典: メドピア

苦労した点では、「希望に合う求人が少なかった」が21.5%で最多だった。

  • 転職活動で苦労を感じた内容(複数回答) 出典: メドピア

1年以内に何らかの転職活動をした医師に、転職活動で医療機関・施設に提示してほしいことを聞くと、「勤務時間や休日休暇、日当直などの働き方に関する詳しい情報」が62.2%で最も多く、「募集している職場の具体的な仕事内容」が58.2%で続く。

  • 転職活動で医療機関・施設に提示してほしいこと(複数回答) 出典: メドピア

1年以内に転職をした医師に、転職後いきいきと働けているか尋ねたところ、「あてはまる」が30.6%、「ややあてあまる」が41.6%で、合わせて7割以上がいきいきと働けていると回答している。

  • 転職後いきいきと働けているか 出典: メドピア

同じく1年以内に転職をした医師に、転職前と転職後の待遇や職場の状況の変化を15項目で確認した。

先の設問で転職後にいきいきと働けているとした回答者は、全項目でポジティブな回答の割合が全体を上回り、職場環境・人間関係や待遇面など多様な要素が、転職後にいきいきと働くことに影響していると両社は見ている。

これらの項目について特に差が大きい項目を見たところ、「職場の理念や方針への満足度が上がった」(10.9ポイント差)、「職場の雰囲気が良くなった」(10.6ポイント差)、「評価制度への満足度が上がった」(9.9ポイント差)での差が目立つ。

  • 転職前後の待遇や職場状況の変化 出典: メドピア

転職後いきいきと働けているかどうかとキャリア自律度の関係性を見ると、キャリア自律ができている回答者ほど、転職後にいきいきと働けている比率が高く、納得したキャリア選択ができていると両社は見る。

医師という専門性の高い職業においても、キャリア自律が職業人生の満足度を左右するカギになると、両社は考えている。

  • キャリア自律と転職後のいきいき度 出典: メドピア