米国の半導体研究開発および製造能力向上を目指すために立法された「CHIPS and Science Act(CHIPS法)」の実施責任を負う米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は11月20日(米国時間)、半導体パッケージング分野でも米国内に競争力あるエコシステムを構築することを目的に、CHIPS法に基づく「National Advanced Packaging Manufacturing Program(NAPMP、国家先端パッケージング製造プログラム)」の概要を発表した。
2022年8月に成立したCHIPS法は、米国内での半導体の研究開発、製造能力向上のために5年間で約527億ドルの予算を確保しており、(1)米国に半導体関連投資を行う企業への資金援助(390億ドル)、(2)商務省管轄の研究開発プログラム(110億ドル)、(3)労働力の開発や他国との協力強化(27億ドル)で構成されている。今回発表のNAPMPは(2)に当たり、110億ドルのうち約30億ドルが充てられる。
このプログラムへの最初の資金提供については、2024年初めに発表される予定になっており、その後、追加でパッケージング試験施設を含む投資分野に関する発表が行われることになっている。
このプログラムでは、先端パッケージングのパイロット施設を立ち上げ、パッケージングの新技術を米国の半導体メーカーに移管していくことや、パッケージングに従事する労働者の能力開発、次の6分野に関するプロジェクトへの資金援助が国家資金拠出対象となる。
- パッケージングの素材とサブストレート
- 装置・ツール・プロセス
- 電力供給と熱管理
- フォトニクスとコネクタ
- チップレットのエコシステム
- 試験、修理、安全性、相互運用性、信頼性にかかる共同設計
ジーナ・レモンド商務長官は、「国内のパッケージング能力と研究開発に多額の投資を行うことは、米国に競争力ある半導体エコシステムを構築するために不可欠である。高度なパッケージングに関するこの新しいビジョンにより、バイデン大統領の米国内投資計画を実行し、米国を最先端の半導体製造のリーダーにすることが可能になる」と述べている。
また、NISTのローリー・E・ロカシオ所長は、「10年以内に、米国は世界で最も洗練されたチップの製造とパッケージングの両方を行うようになるだろう。これは、自立的で収益性が高く、環境に配慮した大量生産の高度なパッケージング産業を立ち上げることと、市場への新しいパッケージングアプローチを加速するための研究開発を推進することの両方を意味している」と述べている。
なお、NISTは2023年11月27日午後3時(東部標準時間)にプログラムのビジョン、戦略、実施計画についてオンライン説明会を開催するとしている。同説明会には国籍によらず参加できるが、参加希望者はNISTの専用Webサイトにて事前登録する必要がある。