LPICの参考書
LPICはLinuxに関するスキルを認定する世界的な資格です。LPICは非営利組織のLinux Professional Institute(通称LPI)が運営しており、Linuxの基本操作からシステム管理、セキュリティ、ネットワークなど、さまざまな分野のスキルを評価、認定します。
LPICにはレベル1からレベル3までの3つのグレードがあり、上位グレードの受験には下位のグレードの資格を有している必要があります。LPICは、Linuxディストリビューションに依存しない中立的な資格であり、公正なLinuxスキルの判断基準として国際的に認められています。
LPICを取得することで、Linuxエンジニアとしての信頼性や市場価値を高めることができます。
LPICの資格取得は、Linuxエンジニアやネットワークエンジニアとしてのスキル証明となりますので、インフラ関係のエンジニアとして活躍が期待できます。
この記事では、LPICの試験対策、Linuxエンジニアやネットワークエンジニアとして役立つ、おすすめの参考書や関連書籍を10選として紹介します。
【参考】:Linux Professional Institute (LPI)
【参考】:LPI |ピアソンVUE
LPICの概要
LPICの資格試験勉強に役立つ参考書を紹介する前に、LPIC試験の概要について紹介します。
LPICの3種類の資格
LPICにはレベル1からレベル3までの3つのレベルがあり、上位のレベルを受験するには下位のレベルに合格している必要があります。ここでは、LPICの3種類の資格レベルについて解説します。
■ LPIC-1:
Linuxのシステム管理者向けのベーシックな資格です。Linuxの基本操作やメンテナンス、ネットワーク設定などのスキルが問われます。試験は「101」と「102」の2つで構成され、両方の試験に合格する必要があります。受験条件は特にありません。
仮にLPCI101試験に受かり102試験に落ちた場合は、5年以内に102試験に合格する必要があります。
【参考】:Linux Professional Institute LPIC-1
■ LPIC-2:
Linuxエンジニア向けの資格です。Linuxを中心にWebサーバやメールサーバ、セキュリティシステムなどを構築・管理できるスキルレベルが求められます。試験は「201」と「202」の2つで構成され、両方の試験に合格する必要があります。受験にはLPIC-1に合格していることが条件です。
【参考】:Linux Professional Institute LPIC-2
■ LPIC-3:
Linuxプロフェッショナル向けの資格です。企業レベルでLinuxを使用したシステム設計や問題解決ができるスキルレベルが求められます。
試験は「300」(混在環境)と「303」(セキュリティ)、「305」(仮想化と高可用性)、「306」(高可用性とストレージ クラスター)の4つの専門分野から選択ができ、どれか1つでも合格すればLPIC-3資格が認定されます。受験にはLPIC-2に合格していることが条件です。
【参考】:Linux Professional Institute LPIC-3混在環境
【参考】:Linux Professional Institute LPIC-3セキュリティ
【参考】:Linux Professional Institute LPIC-3 仮想化とコンテナ化
【参考】:Linux Professional Institute LPIC-3 高可用性とストレージ クラスター
LPIC受験の手順
LPICの受験を決意した後、受験にはどのような手順で申し込みをするのでしょうか。ここでは大まかなLPIC受験の流れについて紹介します。
1.Linux Professional Instituteの公式サイトでLPI-IDを取得します。LPI-IDはLPICの試験に必要なIDで、個人情報を入力して発行されます。
【参考】:Linux Professional Institute
2.試験実施機関のピアソンVUEのサイトでアカウントを作成します。プライバシーポリシーに同意した後にLPI-IDや個人情報を入力して登録します。
【参考】:ピアソン VUE - ウェブアカウントを作成:個人情報(ステップ1/3)
3.ピアソンVUEのサイトで受験申込を行います。希望する試験と日程を選択し、あらかじめ受験チケットを購入している人はチケットコードを入力して支払いを完了します。クレジットカード支払いも可能です。
【参考】:LPI認定試験|ピアソン VUE
4.試験当日に必要な持ち物を準備し、試験会場に向かいます。身分証明書・健康保険証など2点の身分証明となるもの、受験確認メールは必須です。試験はコンピュータ上で行い、試験終了後に合否が表示されます。
LPICの試験概要
LPICの試験概要は、出題範囲やレベルを除いて以下の通りです。LPIC-1およびLPIC-2はそれぞれ試験科目数は2であり、LPIC-3は1科目を選択して受験します。
▪申込先:ピアソンVUE
▪問題数:65問
▪試験時間:90分
▪受験会場:自宅・職場・テストセンターのいずれか
▪出題内容:選択および記述式
▪合格点:800点中500点以上で合格
▪合格率:非公表
▪有効期限:資格の有効期限は5年間(同一レベル、あるいは上位レベルの試験に合格することで資格維持)
▪受験料:16,500円(税込)×試験数
【参考】:Linux Professional Institute認定試験|ピアソンVUE
LPIC おすすめの参考書10選
ここでは、LPIC試験の勉強に役立つ参考書、問題集、関連書籍などを10選として紹介します。特にLPIC-1は独学でも合格が可能な初級レベルの試験です。ここでは主にLPIC-1及びLPIC-2に対応する参考書、問題集、関連書籍を紹介します。
紹介した参考書を精読し、練習問題を解く流れで勉強を進めてみましょう。
1週間でLPICの基礎が学べる本 第3版
LPIC Level1の初心者向けの参考書で、初めて受験する人がスムーズに試験対策ができるように配慮された入門書です。Linuxの基本的な知識やコマンド操作をイラストや図でわかりやすく解説しています。
CentOSの仮想マシンをダウンロードして手を動かしながら実践的に学べ、LPIC Level1の試験情報や模擬問題も掲載されています。
▪著者:中島 能和
▪ページ数:326ページ
▪出版社:インプレス
▪発売日:2019/6/20
【参考】:1週間でLPICの基礎が学べる本 第3版
Linux教科書 LPICレベル1 Version5.0対応
LPIC Level1の出題範囲を網羅した定番の参考書で、通称「あずき本」とも呼ばれます。基礎をある程度学んでいる中級者向けの本です。初心者にはやや難しいと感じられるかもしれません。Linuxの実務にも役立つ内容が満載で、章ごとに練習問題も収録されています。
Linuxの仕組みや機能を詳しく説明しており、実践的なスキルが身につきます。最後には本番と同じ形式の模擬試験もあります。
▪著者:中島 能和
▪ページ数:592ページ
▪出版社:翔泳社
▪発売日:2019/4/8
【参考】:Linux教科書 LPICレベル1 Version5.0対応
Linux教科書 LPIC レベル1 スピードマスター問題集 Version5.0対応
LPIC Level1の最新バージョンに対応した問題集で、通称「白本」とも呼ばれています。試験に出題されるような問題が多数収録されています。各問題の下には丁寧な解説が付いており、短時間で学習ができます。
また、101・102試験の模擬試験で実力判定ができますので、参考書と問題集を1冊で済ませたい人、白本だけで構わないという人におすすめします。
▪著者: 山本 道子、大竹 龍史
▪ページ数:552ページ
▪出版社:翔泳社
▪発売日:2019/9/11
【参考】:Linux教科書 LPIC レベル1 スピードマスター問題集 Version5.0対応
Linux教科書 図解でパッとわかる LPIC/LinuC
Linuxの基礎について217項目が学べる参考書です。各用語にはイラストや図解があり、理解度を測る問題が豊富にあるため、学習の進捗度が分かります。また、学習環境も詳しく解説してあり、手を動かしながら学習ができます。LPICやLinuCの受験を考えている人におすすめの1冊です。
▪著者:橋本 明子、松田 貴之、小井塚 早央里
▪ページ数:336ページ
▪出版社:翔泳社
▪発売日:2023/4/22
【参考】:Linux教科書 図解でパッとわかる LPIC/LinuC
イラストでそこそこわかるLinux コマンド入力からネットワークのきほんのきまで
Linuxと縁がなかった人に向けて、はじめの1歩から図解イラストを使ってわかりやすく解説しています。本書用に用意したCentOSをVirtualBox上で動かしながら、コマンド操作やファイルシステム、ネットワークやクラウドなどの基本的な知識を学ぶことができます。
インフラエンジニアを目指す人や、ITエンジニアの新人研修にも最適な1冊です。
▪著者:河野 寿
▪ページ数:336ページ
▪出版社:翔泳社
▪発売日:2020/2/28
【参考】:イラストでそこそこわかるLinux コマンド入力からネットワークのきほんのきまで
Linuxの絵本 サーバーOSが楽しくわかる9つの扉
LinuxのサーバOSについて、9つの章に分かれて解説しており、Linux初心者でもわかりやすく、Linuxサーバの基礎知識を学ぶことができます。また、Linuxサーバの構築方法や設定方法についても詳しく解説していますので、手を動かしながらLinuxサーバについて理解を深めることができます。
▪著者:株式会社アンク
▪ページ数:216ページ
▪出版社:翔泳社
▪発売日:2020/1/20
【参考】:Linuxの絵本 サーバーOSが楽しくわかる9つの扉
ゼロからわかるLinux Webサーバー超入門
LinuxでWebサーバを構築するための入門書で、CentOSと人気のソフトウェアApache HTTP Serverを用いて、Webサーバの基本操作や設定、PHPプログラムの実行などを学ぶことができます。また、練習問題や解答・解説集も付属しており、実践的なスキルを身につけられます。
Webサーバに興味がある初心者、Webサービス開発に役立つ知識を得たい人におすすめします。
▪著者:小笠原 種高
▪ページ数:264ページ
▪出版社:技術評論社
▪発売日:2018/9/15
本気で学ぶ Linux実践入門 サーバ運用のための業務レベル管理術
Linuxのサーバ運用に必要な知識とコマンドを解説した参考書です。Linuxの基礎知識から、日々の管理業務で求められる各種操作のためのコマンドを多数掲載しており、実行例を参考にしながら学習できます。
CentOSとUbuntuの2つの代表的なディストリビューションに対応しており、Linuxの基本的な使い方から1歩進んだ、より実践的な知識を身につけられる、読み応えのある入門書です。
▪著者:大竹 龍史、山本 道子
▪ページ数:584ページ
▪出版社:SBクリエイティブ
▪発売日:2019/5/30
【参考】:本気で学ぶ Linux実践入門 サーバ運用のための業務レベル管理術
Linux教科書 LPICレベル2 Version4.5対応
LPICレベル2の最新バージョンに対応した学習書です。LPI認定テキストとして出題範囲を完全網羅しており、豊富な用例をまじえながらわかりやすく解説しています。
また、各章末に練習問題や模擬試験を掲載し、効果的な受験対策が行えます。またLPICレベル2の試験対策だけでなく、Linuxや周辺技術について幅広い知識を得るためにも役立つおすすめの1冊です。
▪著者:中島 能和、濱野 賢一朗
▪ページ数:640ページ
▪出版社:翔泳社
▪発売日:2017/5/11
【参考】:Linux教科書 LPICレベル2 Version4.5対応
Linux教科書 LPICレベル2 スピードマスター問題集 Version4.5対応
LPICレベル2の最新バージョンに対応した試験対策問題集です。LPIの審査を通った認定教材であり、分野別問題と模擬試験問題を合わせて496問を収録しています。各問題には詳しい解説と重要度が示されており、効率的な学習ができます。
単なる試験対策だけではなく、Linuxの実務に役立つ知識を身につけられる、おすすめの問題集です。
▪著者:大竹 龍史
▪ページ数:536ページ
▪出版社:翔泳社
▪発売日:2017/10/27
【参考】:Linux教科書 LPICレベル2 スピードマスター問題集 Version4.5対応
おすすめのオンライン学習教材
ここまで、LPIC試験におすすめの参考書10選を紹介しましたが、書籍よりも受講形式が身に付くという人には、オンライン学習教材の利用をおすすめします。紹介するUdemy提供のコースは、Linuxの入門から中級までの学習コースです。
このコースでは、Linuxのインストールや基本コマンド、シェルスクリプトの作成や実行、Dockerの利用やネットワークやセキュリティの設定など、ITエンジニアに必要なLinuxスキルを体系的に学ぶことができます。またLPICレベル1の試験対策も含まれており、講義と演習問題で知識を確認できます。
【参考】:20時間で【Linux】マスター!!基礎、シェルスクリプト、Docker基礎、ネットワーク 、セキュリティを体系的に解説
LPIC資格の取得で活躍できるLinuxエンジニアを目指そう
ここまで、LPICの参考書をテーマに、LPIC試験の概要、参考書10選を紹介してきました。Linuxの初学者が利用できる参考書から、LPICレベル2の試験に役立つ参考書や問題集まで紹介しました。役に立ちそうな参考書は見つかったでしょうか。
受験レベルや経験、興味などと照らし合わせて、LPIC試験やLinuxの学習に最適な参考書を選択するとよいでしょう。