アドビはこのほど、「Adobe MAX Japan 2023」を開催した。Adobe MAX Japanは、グラフィックデザイン、写真、Web制作、UI/UXデザイン、映像制作、3D制作などに携わるクリエイターおよびそれらを目指す人が楽しむことができる「クリエイターの祭典」として行われているもので、新型コロナウイルスの影響で、大規模なオフライン開催となったのは4年ぶりだ。

さまざまな展示や会見が行われる同イベントだが、その中でアドビがnoteとの連携について発表した。本稿では、連携の詳細と連携を記念して行われた生成AIでイメージした画像をカフェラテのプリントに表現するサービスの体験をレポートする。

noteの見出し画像をつくる機能

クリエイターが文章やマンガ、写真、音声を投稿することができ、ユーザーはそのコンテンツを楽しんで応援できるメディアプラットフォームであるnoteとアドビは連携して、Adobe Expressで記事の見出し画像をつくる機能を11月16日にリリースした。

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両社は、生成AIは副操縦士やアシスタントのように人間の創造性を高めるものであり、人間と競合して代替するようなものではないと考えている。両社が生成AIに対する共通のスタンスを持って、クリエイターの創作活動を支援していることから、今回の機能連携が実現したという。

一部のSNSでは、記事のタイトルがタイムライン上で表示されない傾向が見られており、その結果として見出し画像が記事へのクリックを促す唯一の情報となり、その重要性は増している。

そこでAdobe Expressに搭載されている生成AI機能を利用することで、クリエイターは自身の記事イメージに合ったオリジナルの見出し画像を簡単に作成できるようになった。

具体的には、Adobe Expressとnoteの記事投稿画面をシームレスにつなげることで、noteの見出し画像を簡単に自動生成できる機能が搭載された。

Adobe Expressに搭載されている生成AIである「Adobe Firefly」の機能を使って「こんな画像」と頭に浮かんだイメージを文章で入力するだけで、さまざまな画像を作成することが可能だ。

なお今回、Adobe Expressで使えるnoteのためのオリジナルテンプレートが105種類用意されており、今後も随時追加を予定している。今後は、Adobe Expressを活用した見出し画像の作成機能によって、クリエイターが考えて作業する工程を少しでも減らし、独自の感性や視点を発揮する時間を増やすサポートを進めていきたい考え。

  • ,連携のイメージ

    連携のイメージ

生成AIで世界に1つだけのオリジナルのラテアート

今回の発表に伴い、アドビとnoteの両社は「生成AIでイメージした画像をカフェラテのプリントに表現するサービス」の体験を実施した。

この体験では、Adobe Expressの生成AI機能を活用して、note上でサムネイル画像になる画像を作成、それをカフェラテにプリントすることで、世界に1つだけのオリジナルラテアートを作れるというものだ。生成AIを活用して画像を作成するのが初めての筆者も体験した。

初めにAdobe Expressの「テキストから画像生成」を選択し、文字として表現したい画像のイメージを打ち込む。筆者は「ダンスする猫」というテーマで画像を作成したが、抽象的な言葉でも生成AIが意図を汲んで画像を抽出してくれる。

  • ,筆者が作成した「ダンスする猫」

    筆者が作成した「ダンスする猫」

加えて、画像を生成するときに入力する文章が同じでも、画像生成のスタイルやコンテンツタイプを変更することで、画像のテイストを変えることができる仕様となっている。コンテンツタイプは「アート」「グラフィック」「写真」などが用意されており、用途やイメージに合わせて違うスタイルを選択することができる。

  • ,生成ワード「犬 お花畑 遊んでいる」 左から「アート」「写真」「グラフィック」

    生成ワード「犬 お花畑 遊んでいる」 左から「アート」「写真」「グラフィック」

お気に入りの画像が生成できたら、印刷したい範囲やサイズなどを調整し、写真やイラストなどを飲み物や食べ物に印刷するプリンター「ラテプリ」に画像を送信し、出来上がりを待つだけだ。印刷時間も数十秒程度で完成する。

  • ,実際に出来上がった筆者のオリジナルのラテアート

    実際に出来上がった筆者のオリジナルのラテアート

今回、筆者は初めての生成AIを活用したイラストの作成だったが、非常に簡単に自分の脳内のイラストを再現することができた。noteで活動するクリエイターたちにとっても、この生成AIの機能は心強い相棒になるだろう。

また今までこのラテプリは、写真やイラストをプリントすることがほとんどだったそうだが、今回の連携のように生成AIを活用したイラストの作成が一般に普及していけば、活用の幅も広くなっていくのではないだろうか。