2023年11月15日から17日までパシフィコ横浜にて開催していた事業変革を推進するための最新技術とつながる総合展「EdgeTech+ 2023」で、STMicroelectronicsはコンピュータビジョン向けの組み込みソリューションなどを中心に、さまざまな技術を組み合わせた高性能トータルソリューションの提案をしていた。
同社が提供していたのは、マイコンからセンサ、アプリケーションまでのトータルソリューション。STの製品ですべてが揃うため機器同士の接続がうまくいかないなどの問題発生リスクを抑えることができるほか、消費電力を抑えることも可能だとしている。
例えば、システムを動かす際にはマイコンだけではなく、人を分類したり物体を認識したりなどの画像入力が必要となるが、同社では「STM32マイコン」に加えて、入力データを得るためのイメージセンサも提供しているとする。
通常通り画像全体をデータとして取得することもできるが、同社が提供しているイメージセンサは、動いている部分だけを出力し、ニューラルネットワークモデルで動かすため、通常の画像全体を処理するよりも計算コストを下げることができるという。具体的には、動いていないところは0、動いているところは1、色に変換すると黒か白かでしか出力されないため、計算式を少なくすることができる。一方で、色がある場合はそれだけ複雑になり計算式が多くなるため、消費電力も多く必要になるという。
また、ニューラルプロセッシングユニットを搭載したマイコンを活用することで、エッジの端末でディープラーニング向け演算(推論)の高速化が可能となるとし、同社のイメージセンサと組み合わせることで高効率かつ低消費電力なエッジアプリケーションを実現できるともしている。
さらに、マイコンにて異常検出を実現する機械学習ライブラリも展示されており、STM32マイコン上で軽量なAIモデルがしきい値判定では実現できない高精度な正常/異常判定をするデモンストレーションも行なわれていた。
こうしたソリューションの多くが人々の身近なさまざまな製品に組み込まれることで、生活を豊かにしてくれると同社では説明している。例えば、エアコンの目詰まり検出や洗濯機の衣類量測定、食洗器の排水不具合などといった生活シーンのほか、工場ラインの品質管理や倉庫の資産管理、ロボット制御の故障予知など産業分野問わずに活用できるとしている。
また、特に工場や生体用のウェアラブルなどは秘匿性が高いデータが多いが、クラウドへ不必要に接続せずともエッジ側で処理させることもでき、無駄に電力を消費せずに安心して使用することが可能だという。
ほかにも、スマートフォンとBluetooth接続で誰でも簡単に使えるIoTセンサ・ノード評価キット「SensorTile.Box PRO」や、この評価キットを活用して実際にどのような製品開発ができるのかの一例としてスマートリングが展示されるなど、同社がもつ技術力を組み合わせた高性能かつ高品質なソリューションの提案も行われていた。