半導体市場動向調査会社の仏Yole Intelligenceによると、車載半導体市場は2022年の430億ドル規模から年間平均成長率(CAGR)11.9%で成長し、2028年には843億ドルまで成長すると予測されるという。

  • 2022年および2028年のモジュール別車載半導体市場規模と年平均成長率

    2022年および2028年のモジュール別車載半導体市場規模と年平均成長率 (出所:Yole Intelligence)

同社が発行した「Semiconductor Trends in Automotive 2023(車載半導体動向調査2023年版)」の中で示された予測で、それによると自動車1台あたりの半導体デバイスの価値は、2022年には約540ドルであったのが、2028 年には約912ドルに高まると予想されるほか、自動車1台に搭載される半導体デバイスの数は、2022年の850個から2028年には電動化やADASの進化を背景に1050個にまで増加する見込みだという。

  • 自動車1台当たりの搭載半導体個数およびその価値(2018~2028年)

    自動車1台当たりの搭載半導体個数およびその価値(2018~2028年) (出所:Yole Intelligence)

また、SiC MOSFETモジュールの採用拡大により、xEV市場の伸びが高くなることが期待されるほか、16nm/12nmプロセスを採用した車載マイコンがレーダーやその他センサ制御を含むADASに使用されるようになることが期待されるという。また、長期的には、レベル3を超える車両の自律性能向上に向け、DRAMと演算性能の向上が求められるようになるともしている。

車載用ウェハの出荷量(ウェハサイズは不問)は、2022 年の約3740万枚から2028年には約5050万枚まで増加するとYoleは予想している。中でもメモリとロジックは車載アプリケーション向けであっても300mmウェハが用いられるため、300mmウェハの出荷量は車載半導体業界にとっての重要な指標となると同社では指摘している。

自動車にはさまざまな半導体が搭載されるようになっており、例えば8~28nmの先端プロセス採用デバイスはADAS用APUは1台あたり0~5個、ADAS/インフォテイメント用メモリが約20個搭載されているという。また、28~350nmの成熟プロセスに至っては、マイコンが40~50個、パワー/アナログ半導体が700個以上、イメージセンサが1~15個、MEMSが15~20個、磁気センサが数十個、その他の半導体50個以上が搭載されているとする。

  • 自動車内の半導体搭載箇所

    自動車内の半導体搭載箇所 (出所:Yole Intelligence)

  • 自動車1台当たり搭載されているか半導体の種類別個数と適用技術ノード

    自動車1台当たり搭載されているか半導体の種類別個数と適用技術ノード (出所:Yole Intelligence)

電気自動車やハイブリッド車を取り巻くパワートレインならびに電動化の主なトレンドとしては「電圧システムの統合」、「急速充電のための800V対応」、「サプライチェーンへのSiCの導入」、「専用のBEVプラットフォームへの注目度の上昇」が挙げられるという。

自動車業界は安全性の向上と自動運転の実現に向け、ADAS技術を進化させており、例えば中国OEMの中にはLiDARの活用を増加させており、センサが多様化するのに併せて、より高性能かつ堅牢なプロセッサへの要求も高まりを見せている。

このほか、電動化の進展によりOEMによる垂直統合も割合として大きくなりつつあるという。現状の自働車製造においては、自動車メーカーと主要コンポーネントサプライヤとの戦略的協力/直接投資から、自動車製造からコンポーネント製造までの完全な統合に至るさまざまな方法がとられてるようになっているとしており、従来の自動車サプライチェーンは、その立場を徹底的に検討し、競争力のあるポートフォリオを維持するために変革がなされる必要があるとする。またOEMの戦略は業界セグメントや地域によって異なっているが、そうした中でも一部のOEMはADASやコックピットアプリケーション向けに高性能プロセッサにフォーカスしているほか、中国のOEMなどは、米中半導体規制などの影響から、自国での半導体製造に向けた投資に熱意をもってあたっているという。

  • 自働車サプライチェーンの伝統的な分担

    自働車サプライチェーンの伝統的な分担(上段)と新たな分担(中段)および自動車メーカーによる自己完結サプライチェーン構築(最下段) (出所:Yole Intelligence)