Nexperiaは11月8日、Vishay Intertechnologyに英国サウスウェールズ州ニューポートに保有する200mmウェハ対応の車載半導体向け半導体工場を1億7700万ドルで売却する契約を締結したと発表した。工場売買仲介業者である米ATREGがNexperiaの取引アドバイザーを務めたという。
28エーカー(ac)の敷地面積を有する同工場は、もともとNewport Wafer Fabという名称の英国最大級の半導体製造メーカーであった。Nexperiaは、この200mmウェハ工場の買収を2021年7月に完了させたが、その後、英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相(当時)が、「英国政府は、国家安全保障上の理由で中国企業(聞泰科技:Wingtech)の子会社であるオランダ企業(Nexperia)による英国企業(Newport Wafer Fab)の買収を調査する」ことを表明。英国議会からも、「英国の半導体技術や人材、製造設備などが中国にわたる懸念があることを踏まえ、売却を規制すべきだ」との声があがり、最終的にNexperiaは、当該工場を中国資本が関与しない他社へ売却する必要性に迫られることとなった。
Nexperia UKでカントリーマネージャーを務めるToni Versluijs氏は「Nexperiaは2021年、投資したくても資金が不足していた半導体会社と工場を買収し、長期的な投資戦略を実施することを計画していた。しかし、この投資計画は、2022年11月に英国政府から出された売却命令によって打ち切られることとなった。今回のVishayへの売却は、すべての選択肢の中で工場の発展に寄与するもっとも確実な手法であると判断されたもので、この取引により、ニューポートの200mmウェハ工場がさらに発展していくことを期待する。ただし、英国政府の売却命令に対するNexperiaとしての立場に変更はない」と、英国政府の売却命令に対する不満をコメントしている。
なお、当該工場のNexperiaからVishayへの売却は、英国政府の審査を経て2024年第1四半期中にも完了する予定だという。