Amazon Web Services(AWS)は11月15日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が推進するクラウドファースト戦略を加速するため連携を強化することを発表した。

  • Amazon Web Services、三菱UFJフィナンシャル・グループのロゴ

    Amazon Web Services、三菱UFJフィナンシャル・グループのロゴ

MUFGは、AWSのサービスを活用してグループのITインフラコストを20%削減する一方、クラウドの利点を生かしてより短期間でパーソナライズされた新しいソリューション開発を実現している。AWSクラウドの活用により顧客に対しより迅速な金融処理、タイムリーな洞察、および長期的で安全な金融デジタルサービスへのセキュアなアクセスを提供できるという。

その取り組みの一つとして、株式や投資信託、クラウドファンディング、保険、ポイント運用など、 MUFGだけでなくパートナー企業が提供する商品・サービスも含めた幅広いラインナップから、個人顧客が自身に最適な金融サービスを選んで組み合わせ、単一のモバイルアプリで金融ポートフォリオを構築できる資産運用プラットフォーム「Money Canvas」を開発し、2021年12月にリリースした。

MUFGは、Amazon BedrockやAmazon SageMaker JumpStartを活用し、社内文書の要約やドラフト作成、各種問い合わせ応答の自動化といったユースケースの検証を行い、カスタマーサービス、財務、人事、営業など、あらゆる事業部門における生産性の向上を目指しているという。

また Amazon SageMakerを活用して業務センターにおける業務を自動化することで、30%の業務量削減を実現。さらに、MUFGの市場部門では、データ分析・AI のプロフェッショナル集団の組成とその能力を最大限発揮するための分析環境を構築した。Amazon SageMakerを中心としたマネージド型サービスをフル活用することでスモールスタートを可能にし、短期間でトレーディングポートフォリオの最適化、見込み取引顧客の抽出、契約文書の分析作業の一部自動化を社員による内製開発で実現しているという。

生成系AI、特に大規模言語モデルの活用においては、AWSの計算資源を活用し、OSSで商用利用可能な複数のモデルに対し精度やコストパフォーマンス測定を行っており、多種多様な基盤モデルを用途ごとに柔軟に使い分けられるための知見の蓄積とプラットフォームの整備を進めていくことを検討しているという。市場部門では、今後もAWSのサービスを活用し、潜在的なユースケースに対して順次 PoC・実装を進めていく予定だということだ。

MUFGはグループ各社から様々なデータを収集して分析を行ってきたが、Amazon Redshiftによりこうしたデータ分析結果を、予測を裏付けるインサイトとすることで、営業店における営業活動の最適化、顧客との対話の強化、業務の高度化などの取り組みを推進。従業員エンゲージメントの向上に向けて、パルスサーベイのプラットフォームを構築し、サーベイの配信・回答データの集計と回答結果の配信を実施している。Amazon QuickSightの利用により、従来よりも回答の集計から結果の還元までのリードタイムは4分の1に短縮され、運用にかかる費用を約70%削減できたということだ。