Amazonの法人向けEコマース事業「Amazon ビジネス」は11月14日、2024年の調達分野に関する調査レポートを発表した。レポートの内容は調達分野の需要や優先事項、課題について聞いたもの。調査対象はアメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、スペイン、イギリスにおける、政府、金融、ホスピタリティ、食品、ヘルスケア、製造、医療・製薬、小売、テクノロジー、通信などの業界の調達関連の責任者および幹部ら。
調査の結果、回答者の53%が「2024年の調達部門の予算は前年よりも増加する」と見込んでいることが明らかになった。調達部門の責任者は調達の効率性や複雑性を最大の課題として挙げており、これまでに確保してきた資金を、調達プロセスの最適化やより戦略的な組織運営のための投資に充てることを計画しているという。また、回答者の98%は「今後数年以内に分析・インサイトツール、自動化、AI(人工知能)に投資する」と回答した。
他にも、95%の調達部門における責任者が「調達業務を最適化する余地がある」と回答し、85%の回答者は「持続可能なビジネスを行うサプライヤーからの調達が難しく、調達関連のサステナビリティ目標を設定または達成することができない」と回答している。
81%の回答者は、持続可能な企業、地域に根差す企業、社会的および経済的に不利な立場にあるグループが経営する企業などの認証を受けた販売事業者から購入することを義務付けていたという。なお、義務化されていない組織においても、40%がサプライヤーの ESG (環境・社会・企業統治)の要素に配慮していた。
日本にのみ着目すると、回答者の54%が今後1~2年で自社に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、「インフレ」「景気後退」「金融システムの回復力」のうち少なくとも1つを挙げ、45%が「政情不安」を挙げた。
経済・政治的変化によるリスクに備えるために今後1年間で取り組むことについて、42%が「経済的・地政学的リスクを軽減するための対策を講じたい」と回答したが、これは「効率性向上のための技術やツールへの投資」(33%)を上回る。
また、50%の調達部門の責任者が「2024年の調達部門の予算は増加する」と予想していた。回答者の55%が調達業務の社内における課題として「システムやプロセスの複雑さ」と回答し、「雇用、研修、人材確保」(34%)や「ニーズに合ったより幅広い販売事業者や製品へのアクセス」(30%)とする回答が続いた。
67%の調達担当者は、組織にとって調達の最大の価値は「財務的な要素」であると考えており、「コストの削減や節約」「投資収益率(ROI)」「収益性への貢献」のうち少なくとも1つを選択した。
調達担当者が今後1年間でより多くの時間や労力を費やして注力したい分野として、「経済的・地政学的リスクを軽減するための対策」(42%)、「ESGや特定のサプライヤーからの購入に関する目標の設定や達成」(34%)、「効率性向上のための技術やツールへの投資(33%)」を挙げた。
調達担当者が時間を削減したいと考える項目は、「付加価値の低い購買業務のためのサプライヤーを探すこと」(42%)、「報告のための情報やデータの収集」(40%)、「集約できるはずの多くのサプライヤーや納品物を管理していること」(37%)、「情報の提供や更新、訂正のためにサプライヤーへ連絡すること」(38%)などだ。