内田洋行は11月14日~11月17日にかけて新川本社および新川第二オフィスでオフィスファニチャー・ICTの新製品発表会「UCHIDA FAIR 2024」を開催。それに先駆け、11月13日に報道関係者向けに新製品発表会が開催された。本稿では、その様子の一部始終を紹介する。
「人の育成」と「ICTの活用」が共通のテーマ
最初に登壇した内田洋行 代表取締役社長の大久保昇氏は、新型コロナウイルスの5類移行後、オフィスへの回帰が進んでいる状況を解説し、それに対する同社の取り組みを紹介した。
はじめに、大久保氏はザイマックス不動産総合研究所の調査結果を引き合いに出した。2023年6月の時点で「出社派」と回答している人は66.7%となり、2022年秋の調査と比べて6%増加し、それに伴い会議室は日中ほとんど空きがない状況になっていることを示した。
実際、内田洋行における会議室の利用状況を見てみても、ビジネスタイムはどこも埋まってしまっているという。
加えて、大久保氏は18歳人口の将来推計が年々減っていることから、少子化による社会構造の変化に社会がいかに対応できるか、という課題があるという現状も説明した。
これらの課題の解決には「人の育成」と「ICTの活用」を共通のテーマとして挙げている。そして、社会全体のスマート化による生産性向上が必須であるという考えの下、2つのテーマを実現させるために同社ではさまざまな組織改革を行った。
まず、民間・公共のデータ活用ビジネスに向けた取り組みとして、同社は2023年5月にルクセンブルクのOpen Assessment Technologiesの子会社化、2023年7月にスマートインサイトの吸収合併を行った。
また、環境構築分野の東名阪の再編・強化を行うため、大坂・中部を統合するとともに、首都圏の直販部隊も強化した「オフィス・エンタープライズ事業部」を2023年8月から始動している。
それに加えて、大手企業向けのネットワークサービス事業と首都圏オフィスプロジェクト事業を合体させた「エンタープライズ・エンジニアリング事業部」も同時期にスタートさせている。
内田洋行が考える「人が主人公となるハイブリッド・ワークプレイス」
このような取り組みを進める内田洋行だが、人とデータに価値を見出し、人の成長に寄り添うことを使命としている企業として「人が主人公となるハイブリッド・ワークプレイス」を実現していくということをテーマとして掲げている。
「『人が主人公となるハイブリッド・ワークプレイス』とは、個人やチームが集い、高い創造的生産性を創出する心地良いオフィス空間のことで、『ワーカーのさまざまな働き方と業務に対応するフレキシブルさ』『ワーカーが使いやすいICTやテクノロジーと空間の融合』『環境に配慮され、人を包み込む快適さがあり進化し続ける』という3つを軸に進めていきます」(大久保氏)
ハイブリッド・ワークプレイスは、リアルとデジタルの両方で働く場をより自然につなぎ、高品質なオフィスワークと人と人の結束力を高め、創造的生産性を高める場所だ。大久保氏曰く、フレキシブルで、サステナブルな優しさに包まれた快適な環境は、意見を交わし合うチームが自然と集まり、コミュニケーションが拡がる効果があるという。
また執務空間や会議室では、空間・映像・音声・ICTが滑らかに調和されるなど、環境を自在にコントロールすることで、人を主人公に働く場を創出していきたい構えだ。
どこで働いても快適に座ることができる3種のワークチェア
続いて、登壇した内田洋行 営業統括グループ オフィス商品企画部 部長の門元英憲氏は、ハイブリッド・ワークプレイスの環境構築を支える製品群として、木の特性を生かしながら快適なオフィスワークを犠牲にしない新シリーズの「ELMAR(エルマー)」を紹介した。
ELMARデスク・テーブルは、耐久性や経年美に優れた国産ナラ材を活かしたシンプルなデザインでありながら、電源ケーブルをスッキリと収納できる配線機能やパネルオプションを備え、快適にオフィスワーク環境をつくることができるというもの。木の魅力を感じながら、機能性を兼ね備えた豊かで心地良い空間をつくることができるという。
ELMARチェアは、木の持つ柔軟さと各素材の特性を最大限に活かし、長時間にわたり快適に座ることができる仕様だ。木集成材の持つ柔軟さと、チルト機構(健康で適切な背骨と背中のアライメントを保つための人間工学的機能)の組み合せにより従来の木製チェアでは体感できない姿勢追従や、メッシュ座面が柔らかく体重を受け止めることで、快適に座りながら働くことができる新シリーズだ。
「ワークチェアに関しては、ELMARシリーズをはじめ、さまざまな姿勢を取りながら集中して個々人の仕事をする場、省スペースな場所などでチームワークを進める場、くつろげる空間の中でじっくりと働く場、どこで働いても快適に座ることができるように、特徴の異なるチェアを用意しています」(門元氏)
今回、紹介されたワークチェアはELMARに加え、「Aptea」「Karman」の3種類だ。
Apteaは、背と座が連動して動くことで、タスク用チェアと同等のリクライニング角度でも頭位置があまり動かないため、省スペース空間にこもりながらも快適に働くことができるチェアとなっており、近年増加している個室ブースなどでの活用を見込んでいる。
また、Karmanはフリーアドレスの空間、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の構築に最適なハイクラスチェアとしてデザインされている。オフィスチェアでありながら、ゴールドやシルバーに近しい色合いを含めた幅広いカラーバリエーションを有しており、オフィスのどのシーンにも対応させることができるという。
内田洋行の新川本社および新川第2オフィスでは、このような新製品や新シリーズだけでなく、昨年に引き続き、イノベーションを引き起こすチームの拠点となる「Team Base」やハイブリッド時代を支えるICT製品の活用も進められている。
今回は、UCHIDA FAIR 2024に先駆けて新製品や内田洋行の動向をレポートした。働き方改革の促進やコロナ禍により推進されたテレワークの広がりなど、オフィス環境は日々進化を遂げている。そんな中でオフィスファニチャーとICTの力を活用してオフィスの未来を支えている内田洋行の動向から目が離せない。