スーパーコンピューターの計算速度の世界ランキング「TOP500」が日本時間14日、米コロラド州デンバーで開かれた国際会議で発表され、米オークリッジ国立研究所の「フロンティア」が前回5月に続きトップとなり、4連覇を果たした。同機は2022年5月、史上初めて毎秒100京回(京は1兆の1万倍)を意味する「エクサ級」を達成している。理化学研究所の「富岳(ふがく)」は前回の2位から、米国の2台に抜かれ4位となった。

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    フロンティア(米エネルギー省提供)

TOP500は性能評価用プログラムの処理速度を年2回競うもの。最新版では米エネルギー省がクレイ社などと開発したフロンティアが毎秒119京4000兆回。これに続き米国の2台が新たにランクインし、富岳の44京2010兆回が4位で続いた。

上位500台の内訳は米国が最多の161台。これに中国104台、ドイツ36台、日本32台、フランス23台が続いた。TOP500への申請がないものの、中国が既に複数のエクサ級スパコンを開発済みとの情報もある。

日本は先代「京(けい)」が2011年に連覇した後、中国や米国に抜かれた。20年6月、富岳で8年半ぶりに首位となり、21年11月まで4連覇した。

TOP500と同時に発表された、産業利用に適した計算の速度を競う「HPCG」と、グラフ解析の性能を競う「Graph(グラフ)500」で、富岳は8期連続の1位を達成。AI(人工知能)の深層学習に用いられる演算の指標「HPL-MxP(旧HPL-AI)」では3位となった。

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    富岳(理研提供)

富岳は理研と富士通が共同開発。理研計算科学研究センター(神戸市)の京の跡地に設置され、2020年4月からの試験利用を経て21年3月に本格稼働した。文部科学省「成果創出加速プログラム」のほか、一般公募や国の重要課題での利用などが進んでいる。理研は富岳の後継機実現に向け、文科省からの受託により22年8月、求められる性能や機能の調査研究に着手している。

松岡聡センター長は「今回Graph500ではスコアを伸ばし、リードを広げた。多角的な指標で評価を受け続けていることは、幅広い分野での活用を目指した富岳の開発方針が正しく実現できたことを示している。富岳で培った能力はランキングに反映され、さらに知見は、既に次世代のスパコン研究開発の検討でも生かされている」とコメントした。

TOP500のランキング上位は次の通り(名称、設置組織、国、毎秒の計算速度)。
1位 フロンティア オークリッジ国立研究所(米国)119京4000兆回
2位 オーロラ アルゴンヌ国立研究所(米国)58京5340兆回
3位 イーグル マイクロソフト社(米国)56京1200兆回
4位 富岳 理研(日本)44京2010兆回
5位 ルミ 欧州高性能計算共同事業体(フィンランド)37京9700兆回

※以下、日本勢上位
32位 ABCI2.0 産業技術総合研究所 2京2210兆回
33位 ウィステリア・ビーデック01(オデッセイ) 東京大学 2京2120兆回
50位 AOBA-S 東北大学 1京7220兆回

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