10月28日から11月5日まで東京ビッグサイトでは、「Japan Mobility Show 2023」が開催された。かつての「東京モーターショー」からリニューアルし、その裾野を“モビリティ”へと広げた同展示会にて、パナソニックグループは、「笑顔が循環するくらしへ。」というテーマを掲げたブースを展開。未来のモビリティ社会を見据え、感謝の可視化などにより笑顔が生まれる未来に貢献する技術を紹介した。
未来のモビリティは“移動するリビング”へ
パナソニックは、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現を目指し、「地球環境問題の解決」への貢献と「ひとりひとりの生涯の健康・安全・快適」の領域で役立つソリューションの創出に取り組んでいるという。
そして今回は、同社が保有する技術をその他のテクノロジーと掛け合わせることで実現できると予想される“2035年のモビリティ体験”を、自宅のような空間が自動車になったMobile Living Roomによるデモンストレーションを通して紹介した。
Mobile Living Roomでイメージされているのは、2035年のシェアカー。今の乗用車のような運転席は無く、四方が見渡せるようになっている。またこの外装については、周囲の景色を楽しむ場合などは透明に、一方でプライベートな時間を過ごす際には透過しないように変えるなど、状況に応じた使い分けが可能になるとする。
デモンストレーションは、シェアハウスでくらす若者たちが流星群を見に出かけるというストーリーに沿って進む。目的地までは自動運転で向かい、ルートや速度の設定などはパートナーAIが設定してくれる。道中では、近くのカフェの情報をモビリティの壁を使って調べたり、配膳ロボットが運んできたテイクアウト商品を受け取ったりと、近未来感が溢れる便利な技術が凝縮されていた。
パナソニックのブース担当者は、「モビリティそのものというよりは、その中の“空間づくり”という面で、OEMなどと協力しながら我々らしく貢献していきたい」と話した。
ITS通信を用いた車車間通信で交通事故防止へ
また同社ブース内では、自転車を使った体験展示も紹介。ITS(高度道路交通システム)を使用し、自動車との車車間通信によって自転車での安全な走行を実現するバーチャルデモンストレーションが行われた。
ITSを活用していない現在の交通システムにおいては、見通しの悪い交差点や夜間における衝突事故が後を絶たない。しかしITSを活用することができれば、他のモビリティと急接近した場合などに自転車の乗員へと危険を通知し、事故を未然に防ぐことができる。
また、ただ危険を通知するだけでなく、道を譲ってもらった際などの感謝を伝える方法として“ハート”を送る方法を提案。SNS上での反応のように、モビリティへの乗車中においても感謝を伝え合い、それを可視化することによって、QOLの向上などに寄与していきたいとする。また担当者によると、パナソニックではこのITS通信に関する実証実験を行っている段階とのことで、早期の実用化による交通課題の解消が期待される。
モビリティを中心に人・家・街がつながる未来へ{#ID3}
パナソニックブースではこのほかにも、電気自動車(EV)を単なる乗り物ではなく蓄電デバイスとも捉え、太陽光発電によって生じた電気を必要な時に自由に使うV2H(Vehicle to Home)蓄電システムの「eneplat」や、同社グループがEV普及に向けて生産を行う車載デバイス・ソリューションなど、多面的なモビリティ社会への提案を行った。
ブース担当者は、「パナソニックとしては、これらの取り組みを通じ、モビリティ単体だけでなく、モビリティを中心として人・家・街がつながっていく将来を実現していきたいと考えている」と語った。