ソニーグループは11月9日、2023年度第2四半期(7~9月)の決算を発表した。
それによると同社の半導体事業セグメントである「イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)」の売上高は円安を背景に、前年同期比2%増の4063億円となったものの、営業利益は同37%減の464億円に留まったという。
主力のCMOSイメージセンサの新製品の歩留まり改善に向けた費用が増加した結果だという。これは歩留まりが低迷したことに伴う損失とも捉えることができる。同社は公表はしていないがAppleのiPhone向けCMOSイメージセンサを提供しており、この歩留まり低迷の影響から供給量が限られてしまい、iPhone 15シリーズの在庫不足を招いたとも言われている。
I&SS分野の同四半期の売上高については、中国の景気回復の遅れなどに伴う産業/社会インフラ向けイメージセンサが減収となったものの、為替の影響が240億円分プラスされ、結果として前年同期比80億円増となったとする一方、営業利益は為替の好影響が183億円分あったものの、減価償却費の増加、モバイル向けCMOSイメージセンサの新製品量産立ち上げにおける費用増、製造経費の増加、産業/社会インフラ向けイメージセンサの減収などの影響から同276億円減の464億円に留まる結果となった。
同社によると、半導体市場の景気回復時期を2024年度(2024年4月~)以降と見ており、I&SS分野の中期計画に変更はないとしている。
TechInsightsがiPhone 15へのソニーの新型イメージセンサ搭載を確認
ソニーは、次世代のCMOSイメージセンサ技術として2021年に「2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサ」を発表。「Exmor T for mobile」という製品名で出荷しており、同社が2023年5月に発売した「Xperia 1 V」「Xperia 5 V」などに搭載している。この2層トランジスタ画素は、裏面照射型画素が形成された画素チップと信号処理回路が形成されたロジックチップとを重ね合わせた積層型CMOSイメージセンサをさらに進化させた技術で、従来は画素チップ上で形成していた、光を電気信号に変換するフォトダイオードと信号を制御する画素トランジスタの層を別々の基板に形成し積層している。上下でフォトダイオードと画素トランジスタを導通させる高度な技術が必要で、当初から高い歩留りを確保する困難さが予想されていた。
なお、半導体リバースエンジニアリング会社である加TechInsightsがiPhone 15を分解して内部部品を調べたところ、ソニー製の2層トランジスタ画素積層型イメージセンサが搭載されていることが確認されている。ただし、Appleもソニーも採用されたことは公表していない。